岩手県経済連の女子事務員31歳定年制は不当と勝訴(S46.3.16)

昭和46年3月16日、盛岡地方裁判所は、岩手県経済連の女子職員に対する「31歳定年制」が不当な差別であり、憲法14条や労働基準法に違反するとして、盛岡市城西町在住の女子事務員(31)の仮処分申請を全面的に認める判決を言い渡した。

この女性は昭和36年に臨時職員として入職し、昭和40年に「準職員制度」により正式に雇用されたが、昭和44年4月末に就業規則により定年退職扱いとされた。制度上、女子事務職等は31歳、作業員等は50歳、給仕は20歳、正職員のみが55歳定年とされていた。

女性は、こうした定年規定が法の下の平等に反し、公序良俗にも違反するものだとして、昭和45年に身分保全の仮処分を申請していた。一方、県経済連側は「職種ごとの年齢区分であり、性別差別ではない」と主張した。

しかし盛岡地裁は、「女子職員に31歳定年を定める制度は公序良俗に反する」として原告の主張を認め、退職命令後に未払いとなっていた賃金33万3000円の支払いと、訴訟確定まで毎月3万2900円の支払いを命じた。

この判決を受け、県経済連労組は盛岡市大通の県産業会館で報告集会を開き、「準職員制度」の全面廃止と原告の職場復帰を経済連に要求したが、役員改選の遅れにより、昭和46年10月時点で交渉は行われず、制度廃止問題は未解決のままとなっていた。


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