長距離トラック運転手殺害事件(S49.7.10)

昭和49年7月10日午前、宮城県気仙沼市港町の岸壁付近で、海面を漂うロープで縛られたシートが発見され、その中から遺体が確認された。この遺体は北海道恵庭市の男性で、札幌から群馬県へ乳牛を運搬中に殺害されたと判明した。同時に乳牛を積んだトラックも行方不明となっていた。

午後、宮城県警から手配を受けた岩手県警が捜査を開始。同日夜、岩手県和賀郡和賀町の平和橋付近で牛を積んだ大型トラックが発見された。トラックは秋田県方向を向いて停められ、人家がほとんどない山間部であり、遺体や車両を隠すための場所として選ばれたと考えられた。トラックの鑑識結果や運行記録紙の解析から、車両は岩手県内の国道4号線沿いで停車しており、被害者がその周辺で殺害された可能性が浮上した。

捜査の過程で、岩手県花巻市の家畜商が「数日前に牛を売り込んできた若い男たちがいた」と証言し、犯行の概要が明らかになった。二人は小型トラックを使用しており、犯行後、牛を売りさばこうとしていたが、買い手が見つからなかったため大型トラックを山中に放置していた。被害者の遺体は宮城県気仙沼市の海へ遺棄された。

さらに捜査を進める中、岩手県警は栃木県や茨城県を拠点に活動していた二人組を特定した。7月26日、主犯格の男が山梨県甲府市で逮捕され、その供述から共犯者も茨城県神栖町で逮捕された。犯人らは犯行の計画性を認め、被害者の殺害から遺体の遺棄、トラックの放置までの詳細を供述した。遺体や証拠品は、宮城県気仙沼市や岩手県内のほか、福島県や茨城県など各地に投棄されていた。

裁判では、犯行の残虐性と計画性が指摘され、両名に重い刑が言い渡された。


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