北上のバス女車掌殺害事件(S52.1.26)
1977年1月26日
2025年10月13日
昭和52年1月26日、岩手県北上市里分の住宅街で、20歳の女性が新聞拡張員を装った男に襲われる事件が発生しました。被害者は、和賀町出身で、北上市内の高校を卒業後、念願のバス会社に車掌として勤務していました。当時、北上市里分で婚約者と共に生活を始めたばかりの彼女は、自宅でくつろいでいた際に事件に巻き込まれました。
午前10時過ぎ、中年の男が自宅の玄関を訪れ、「新聞を取らないか」と声をかけました。一度は断るも、男が「水を飲ませてほしい」と頼んだため家に入れたところ、男は態度を豹変させ金品を要求しました。拒否されると、台所の包丁を手に取り彼女を襲撃。腰や背中を何度も刺し、その場を逃走しました。
女性は瀕死の状態で裏口から外に這い出し、雪の積もった道路を向かいの家に向けて進もうとしましたが、その途中で力尽きて倒れてしまいました。通りかかった郵便配達員が発見し、消防署に通報しましたが、搬送先の北上病院で翌日命を落としました。
被害者は意識が朦朧としながらも、警察の臨床尋問に答え、犯人の特徴を伝えました。彼女の証言により、身長や服装、行動の詳細が明らかになり、事件解決の手がかりとなりました。
捜査本部は、北上市里分を中心に聞き込みを行い、現場周辺の情報を徹底的に洗い出しました。5月中旬、北上市の「大入パチンコ店」で働いていたという情報を得たことをきっかけに、容疑者の足取りが判明しました。その後、神奈川県鎌倉市内の新聞販売店に勤務していた男が逮捕されました。犯行を認めた彼は、事件当時、金銭に困窮しており、被害者宅を訪れて強盗目的で襲撃したと供述しました。
事件解決後、北上市里分に住む被害者の霊前で警察が犯人逮捕を報告し、地域住民にも平和が戻りました。