盛岡で相次ぐ殺人事件(S52.5.13)
① 教諭撲殺・死体遺棄事件(5月13日発生)
昭和52年5月13日朝、盛岡市山王町・山八幡宮付近の路上で、定時制高校に勤務していた教諭が通勤途中に何者かに撲殺された。翌14日夕方、盛岡市大田地区の空き地に止められていた小型トラックの荷台から遺体が発見された。
被害者はかつて北海道大学在学中から革マル派に属していた活動家で、地元でも教職に就きつつ活動を続けていた形跡がある。警察は、当時対立していた革労協との内ゲバ抗争の一環として計画的に行われたものと見て捜査を開始。革マル派は同月、都内の明治公園で行った集会で事件を事実上追認する声明を発表した。
この事件を受け、警視庁と県警は杉並区の出版社や盛岡市内の活動拠点など、全国12か所を殺人および死体遺棄容疑で家宅捜索した。過激派組織内のステルス行動(顔も名前も知らずに活動)によって犯人特定は難航した。
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② 女性刺殺事件(8月28日発生)
昭和52年8月28日未明、盛岡市松尾町の住宅街路上で、飲食店勤務の女性が刃物で刺殺された。
女性は同日未明、**二丁目のスナック「メルヘン」**で飲酒し、午前3時40分頃タクシーで帰宅。松尾町の自宅近くで下車直後に襲われたとみられる。午前4時頃に帰宅した夫が倒れている姿を発見。当初は酔っていると思い一度室内へ戻ったが、再度確認し新聞配達員とともに搬入後、死亡を確認し通報した。
タクシー運転手は現場近くで、**角刈り・サングラス姿の20代半ばの男(遊び人風)**を目撃しており、犯行との関与が疑われたが身元は不明。犯行に物盗りの形跡はなく、計画的・突発的の両面が想定された。遺留品が乏しく捜査は難航している。
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③ 薬局内強盗殺人事件(10月14日発生)
昭和52年10月14日夕方、盛岡市大通の「しんせつ堂薬局」で、店主が刃物で腹部などを刺され死亡した。現場では「ロボ!」という叫び声があったとの目撃証言もあり、警察は強盗殺人事件として捜査を開始。
犯人は二戸市福岡出身の男で、以前から窃盗・強盗歴があり、事件当日の未明に青森県三戸町でタクシー強盗を働いてから盛岡に移動していた。盛岡市内で身柄を確保された後、「鎮痛剤を買おうとしてバカにされたので刺した。現金も奪った」と供述した。ただし、他の事件(松尾町の女性刺殺など)との関与は否定している。