盛岡・上厨川の五男殺し事件(S33.12.6)
1958年12月6日
2025年9月6日
盛岡市上厨川で、親と兄が五男を絞殺する事件が発生した。五男は素行が悪く、日常的に家族へ迷惑をかけていた。彼は酒に酔うと暴れ、時には「殺すぞ」と家族を脅すこともあった。また、酒代を捻出するために家財を勝手に売却することが常態化しており、馬車や農具を売り飛ばすなどして家族に大きな負担をかけていた。
被害者は土淵中学校を卒業してから職場を転々としていたが、どの仕事も長続きしなかった。家族は結婚を機に生活が落ち着くことを期待し、結婚生活を始めさせたが、被害者は世帯道具を質入れして酒を飲むなどの行動を繰り返し、妻子は家を出て別居することになった。事件直前には家財を持ち出して売却し、そのお金で遊び歩いた末に無一文で帰宅しており、家族の不満はピークに達していた。
事件当日、被害者は酒に酔って帰宅し、台所から包丁を持ち出して暴れ始めた。父親と兄が制止を試みたものの収拾がつかず、母親が手渡した帯を使い、三人がかりで被害者を絞殺するという悲劇に至った。地域住民は被害者の行動を知っており、「被害者が悪い」という声が多く、加害者側に同情的だった。
裁判では父親と兄に懲役3年、母親に懲役2年の有罪判決が下されたが、いずれも執行猶予3年が付与され、情状酌量が認められた。