ブラック企業のノルマ地獄で3人の子供を殺す(S52.4.5)
1977年4月5日
2025年10月13日
昭和52年4月5日、岩手県江刺市稲瀬地区にある住宅で、28歳の父親が3人の実子を浴槽内で溺死させた殺人事件が発生しました。事件が発覚したのは午後6時30分過ぎ、江刺市消防署から警察に通報が入ったことがきっかけでした。現場は江刺警察署から北に約5キロの県道沿いに位置する新築の木造2階建て住宅で、被害者は4歳の長女、3歳の次女、1歳の三女でした。発見された3人の子供はすでに浴槽から引き上げられており、死亡が確認されました。父親はその場で犯行を認め、午後7時15分に緊急逮捕されました。
父親は市内の農機具販売会社に勤務していましたが、業績不振や会社からの厳しい指示、新築家屋の多額の負債により精神的に追い詰められていました。また、数日前から仕事を休み、自宅で寝たり起きたりを繰り返す生活を送っており、強いノイローゼ状態にあったと見られます。事件当日は、父親とその52歳の母親が自宅にいましたが、母親が畑仕事のために家を離れた際に犯行が行われました。帰宅した母親が浴槽内で3人の子供を発見し、消防に通報したことで事件が発覚しました。
子供たちの死因は、昭和52年4月6日に行われた解剖の結果、水吸引による窒息死と判明し、父親の供述内容と一致しました。しかし、精神鑑定の結果、父親は犯行当時心神喪失状態にあったとされ、最終的に不起訴処分となりました。
この事件は、平穏だった地域社会に大きな衝撃を与え、特に新築したばかりでこれからという時期に発生した悲劇として、周囲からの同情が寄せられました。家庭内の精神的負担が引き金となったこの事件は、地域社会にも深い影響を及ぼしました。