盛岡・バー経営者殺害事件(S52.8.28)
1977年8月28日
2025年10月15日
昭和52年8月28日未明、岩手県盛岡市八幡町付近で、一人の女性が自宅近くの路上で何者かに襲撃され、死亡する事件が発生した。被害者は39歳の女性で、盛岡市八幡町でバーを経営していた。その晩、バーを閉店後に客と食事をした後、午前3時半ごろタクシーで帰宅したが、自宅の手前約10メートルの場所で襲撃を受けた。犯行現場では被害者が鋭利な刃物で複数回刺されており、持ち物も奪われていた。
盛岡警察署は午前4時15分に事件を認知し、全署員を非常招集して捜査を開始。現場周辺や国道4号線沿いでの検問を実施し、犯人の足取りを追った。初動捜査では、物盗り目的の偶発的な犯行との見解が示されたが、残忍な犯行の手口から計画的な可能性も視野に入れて捜査を進めた。
被害者の当夜の行動調査から、タクシーを降車後わずか10.7メートル歩いたところで襲われたことが確認された。捜査線上には、少年院入所歴があり、盛岡市内の繁華街に出入りしていた23歳の男と、東京都内で刺殺事件を起こして服役後に盛岡市内に戻っていた26歳の男が浮上した。しかし、いずれも捜査途中で所在不明となり、捜査は長期化した。
昭和53年9月、福島県警からの連絡で、26歳の容疑者が福島県内で警備員として働いていたことが判明。さらに、その後の窃盗や暴行事件で逮捕されたことが確認され、盛岡署は福島県警と協力して取り調べを進めた。容疑者は当初供述を拒んだが、説得を続けた結果、事件当夜の行動を自供。犯行動機は、刑務所帰りという社会的孤立感と抑えられない衝動であり、被害者を偶然見かけ声をかけたが拒絶され、衝動的に刺したと語った。
事件から406日後の昭和53年10月8日、容疑者は強盗殺人罪で正式に逮捕された。昭和55年、盛岡地方裁判所で無期懲役が確定し服役した。