事件・犯罪・司法

末崎村の一家無理心中(S11.9.2) k大船渡・陸前高田・気仙郡

末崎村の一家無理心中(S11.9.2)

昭和11年9月1日夜、気仙郡末崎村(現・岩手県大船渡市末崎町)に帰省していた44歳の男性が、娘と同じ部屋で就寝していた。この男性は貨物運送船の船員として家族を支えていたが、大正5~6年ごろ、売卜者(占い師)の言葉を信じ、住居の東隣に厩舎を新築した。この新築費用として数百円の借金を負い、その後も家族の…
下閉伊郡刈屋村で不倫に狂った木こりの娘殺し(S10.7.30) d宮古・下閉伊郡

下閉伊郡刈屋村で不倫に狂った木こりの娘殺し(S10.7.30)

昭和10年(1935年)7月29日、岩手県下閉伊郡刈屋村(現宮古市刈屋)の弥栄工業株式会社林業部で働いていた新潟県岩船郡関谷村(現村上市関谷)出身の38歳の男が事件を起こしました。この男は昭和3年に妻を亡くし、当時10歳の長女を連れて各地を転々としながら土木作業に従事していましたが、下閉伊郡で仕事を…
種市で少年店員が主家を一家鏖殺(S10.4.21) c久慈・九戸郡

種市で少年店員が主家を一家鏖殺(S10.4.21)

昭和10年4月21日、岩手県九戸郡種市村(現在の洋野町種市地区)で一家三人が惨殺される事件が発生しました。犯人はこの家に住み込みで働いていた17歳の少年で、事件の動機には姉への感謝と思い込み、さらに読んでいた大衆文芸作品『鳴門秘帖』の影響が関わっていました。 少年は貧しい家庭に生まれ、姉(当時26歳…
浄法寺村議会で放尿・乱闘さわぎ(昭和10年2月27日) b二戸・二戸郡

浄法寺村議会で放尿・乱闘さわぎ(昭和10年2月27日)

昭和10年3月1日の岩手日報より。 浄法寺村議会では、前の村長の功労金として、3500円を出すべく議案を提出した。 これに対して、傍聴者50名が議場に押し寄せて村長を罵倒するなどとなった。 15時ごろ、この件に不満を抱く村議会議員が、酒気を帯びて役場へ行き、「この功労金の議案を可決してみろ!ただでは…
発狂した父を家族全員で殺す(S9.11.3) c久慈・九戸郡

発狂した父を家族全員で殺す(S9.11.3)

昭和9年11月13日、岩手県九戸郡久慈町(現久慈市)で、精神病を患い凶暴化した夫に対する家庭内の不安と生活苦に悩んだ妻が、長男と次男と共謀して夫を毒殺する事件が発生しました。事件の発端は、地元医師が死体に疑問を抱き警察に通報したことでした。 亡くなった夫は8月ごろから精神異常を発症し、家族への暴力や…
荒沢村の座敷牢放火殺人事件(S9.9.1) b二戸・二戸郡

荒沢村の座敷牢放火殺人事件(S9.9.1)

昭和9年9月1日、岩手県二戸郡荒沢村(現在の八幡平市荒屋新町)で、精神疾患により自宅裏手の監置場に隔離されていた男が火災によって焼死する事件が発生した。この監置場は、男が暴行を働くようになったため、同年4月末に木造で建設されたものだった。 焼死した男は、精神疾患を発症する以前は牛馬商を営んでおり、そ…
江刈村の殺人放火事件(S9.4.1) a盛岡・岩手郡・紫波郡

江刈村の殺人放火事件(S9.4.1)

昭和9年4月1日、岩手県九戸郡江刈村(現岩手郡葛巻町江刈)のある家の物置小屋で火災が発生し、小屋は全焼しました。焼け跡から女性の焼死体が発見され、その後の調査で、その家に住む女性であることが判明しました。 現場は警察署から約40キロメートル離れた寒村にあり、検証と解剖の結果、被害者は頭部に鈍器のよう…
金田一村の両親殺し事件(S9.3.30) b二戸・二戸郡

金田一村の両親殺し事件(S9.3.30)

昭和9年(1934年)3月30日未明、岩手県二戸郡金田一村(現・岩手県二戸市金田一)の農家で殺人事件が発生しました。事件現場は金田一村大字野々上字潰谷地にある一軒家で、山間部に位置し、交通の便が非常に悪い場所でした。 事件当夜、家主(当時49歳)とその妻(当時46歳)が殺害されました。長女(当時20…
八戸の男が盛岡や宮古で詐欺行脚(S8.11.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

八戸の男が盛岡や宮古で詐欺行脚(S8.11.1岩手日報)

八戸の男が岩手県内でこんなことをやらかした。 宮古で3円の宿代を踏み倒し、 盛岡で食い逃げ、 盛岡の別の料理店で「女中を世話してやる」と手付金30円を持ち逃げ、 盛岡市内の36歳離婚女性に「一緒になれば宮古で漁業をする」と結婚を約束するも、宮古で売られそうになっていることを察知し逃げられ、 宮古で「…
世田谷の老婆殺し(S8.6.23) h水沢・江刺・胆沢郡

世田谷の老婆殺し(S8.6.23)

昭和8年6月24日、岩手県水沢警察署の司法主任は『東京新聞』の記事に注目した。記事には、6月23日に東京市世田谷区玉川町で老女の絞殺遺体が発見され、身元が不明ながら田舎出身と推測されると記されていた。この情報を基に、警察は被害者の写真を県内外の警察署に送り、身元特定を進めた。 捜査の結果、岩手県水沢…
盛岡警察署の交通取締の結果(昭和7年11月1日) a盛岡・岩手郡・紫波郡

盛岡警察署の交通取締の結果(昭和7年11月1日)

昭和7年11月1日の岩手日報より。 盛岡警察署では、10月18日〜30日まで各交番を指揮して交通一斉取り締まりを実施した。 その結果は以下の通り。 告発 28件 自動車無免許運転 3件 自動車泥除け無し 1件 自動車規定表示無し 6件 貨物自動車に乗車 1件 自転車警告設備無し 5件 自転車無灯火 …
花巻駅付近の人身事故は二高生の心中(昭和7年7月1日) f花巻・稗貫郡

花巻駅付近の人身事故は二高生の心中(昭和7年7月1日)

昭和7年7月3日の読売新聞より。 7月1日の夜、東北本線の花巻付近で男女が轢死する人身事故があった。 どうやら遺留品を見てみると、二高(旧制。現在の東北大学教養部)の生徒とその恋人らしい。 仙台からも二高の生徒主事がやってきて確認に来たところ「間違いない」ということになった。 ところが、その二高生の…
西磐井郡萩荘村で29歳の男が復縁目当てに放火(S6.9.13岩手日報) i一関・西磐井郡

西磐井郡萩荘村で29歳の男が復縁目当てに放火(S6.9.13岩手日報)

昭和6年9月13日の岩手日報によれば、西磐井郡萩荘村(現在の一関市)で、ある村議の次男(29歳)が、なんとも浅はかな理由から放火事件を起こしました。 記事の大見出しは「世にも浅はか 男のお七 家事手伝いの功を狙って離縁の妻方に放火」。 ここでいう「お七」とは、井原西鶴『好色五人女』にも登場する、恋人…
あわや門崎村で自動車強盗事件になるところが暴風雨で命拾い(昭和6年6月3日) i一関・西磐井郡

あわや門崎村で自動車強盗事件になるところが暴風雨で命拾い(昭和6年6月3日)

昭和6年9月1日の『岩手日報』より。 8月31日に、一関にて自動車強盗未遂事件の公判が開かれた。被告は19歳の少年と21歳の男の2名である。事件は6月3日に発生したもので、自動車強盗を試みたが、未遂に終わっていた。 主犯とされたのは19歳の少年で、青森県下北半島の出身。製材工場でエンジン係として働い…
岩手県庁疑獄事件(S5.3.20判決) a盛岡・岩手郡・紫波郡

岩手県庁疑獄事件(S5.3.20判決)

昭和4年春、岩手県庁穀物検査所で現金約6,000円が盗まれる事件が発生した。犯人は金庫を盗み、中の現金を持ち去った後、金庫を窓外に捨てて逃走。この事件は内部関係者の犯行と疑われ、県庁関係者を対象に捜査が進められた。 捜査の結果、県庁会計課の職員が不審な豪遊を繰り返していることが判明。彼は遊郭や料亭で…
水沢区裁判所で猫を失火罪で訴える珍無類な裁判(S5.3.1岩手日報) h水沢・江刺・胆沢郡

水沢区裁判所で猫を失火罪で訴える珍無類な裁判(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の『岩手日報』には、裁判所で繰り広げられた少し風変わりな一幕が紹介されている。 水沢区検事局から「失火罪」に問われたのは、江刺郡愛宕村(現在の奥州市)に暮らす当時33歳の女性だった。検察は略式命令として罰金20円を科したが、これに納得できなかった女性は、正式裁判を求めて異議を申し立て…
函館で不敬事件発生。内容は極秘(S5.3.1岩手日報) m県外・参考

函館で不敬事件発生。内容は極秘(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報によれば、函館市で不敬事件が発生し、関係者が拘束された。 事件は、函館地方裁判所の令状に基づき、潮見刑務所支所で取調べが行われたとされているが、その内容は「極秘」とされており、一切が伏せられている。罪名として「不敬罪」が示されているのみで、具体的にどのような発言や行動が問題…
選挙違反の捜査は医師やレントゲン写真まで(S5.3.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

選挙違反の捜査は医師やレントゲン写真まで(S5.3.1岩手日報)

昭和5年の岩手県議会議員選挙をめぐり、盛岡地方裁判所検事局は大規模かつ徹底的な選挙違反捜査を展開していた。 この日報じられたのは、その取り調べが医療の領域にまで及んだという事実である。容疑の一つに「病気を装っていたのではないか」という疑惑が浮上し、検察はその裏付けとして病院関係者を聴取したのみならず…
原敬を暗殺した大塚駅転轍手の家族のその後(S5.3.1岩手日報) m県外・参考

原敬を暗殺した大塚駅転轍手の家族のその後(S5.3.1岩手日報)

大正10年11月4日、日本の総理大臣・原敬が東京の大塚駅で刺殺された。犯人は当時24歳の鉄道省転轍手・中岡艮一であり、裁判の結果、無期懲役の判決を受けた。 それから9年後の昭和5年3月1日、岩手日報には服役中の艮一の出所が近いという報道が掲載された。その記事では、東京・大塚駅近くで支那そば屋を営む艮…
達曽部村でパワー系池沼が父を殴り殺す(S5.1.25) e釜石・遠野・上閉伊郡

達曽部村でパワー系池沼が父を殴り殺す(S5.1.25)

昭和5年1月25日、岩手県上閉伊郡達曾部村(現・遠野市宮守町達曽部)で、37歳の男性が父親を殺害する事件が発生しました。この男性は精神薄弱とされ、普段から短気で、父親(当時67歳)との関係が悪く、しばしば口論が絶えませんでした。 事件当日、彼の7歳の息子が祖父に豆を求めましたが、祖父が「腹が減ったん…
花巻の抱酌婦殺し(S4.11.27) f花巻・稗貫郡

花巻の抱酌婦殺し(S4.11.27)

昭和4年11月27日、岩手県稗貫郡花巻町四日町(現・花巻市四日町)の料理屋「蔦屋」で、女将と抱酌婦が絞殺される事件が発生しました。現場は、東北本線花巻駅から東に位置し、国道から東へ約1丁ほど入った住宅街の中にありました。この日、深夜12時頃に若い男の客が来店し、抱酌婦とともに2階で酒を飲んだ後、階下…
山田町の兄殺し(S4.9.30) d宮古・下閉伊郡

山田町の兄殺し(S4.9.30)

昭和4年春頃、岩手県下閉伊郡山田町飯岡で、一家の長男(当時34歳)が継母(当時43歳)と不倫関係を持ち、家庭内に深刻な対立が生じました。父親(当時61歳)はこの関係を知って憤慨し、家庭内では争いが絶えなくなりました。次男(当時25歳)は家庭の平穏を取り戻すため、長男に出稼ぎを提案し、昭和4年9月20…
苦学の夢に敗れ貨物列車に飛び乗って帰郷(S4.9.5岩手日報) g北上・和賀郡

苦学の夢に敗れ貨物列車に飛び乗って帰郷(S4.9.5岩手日報)

昭和4年9月4日の明け方、黒沢尻駅(現在の北上市)に到着した盛岡行きの貨物列車に、場違いな姿の若者が一人混じっていました。これに気づいた駅員は不審に思い、青年を派出所に引き渡しました。 調べてみると、この青年は沿岸・田老村(現在の宮古市田老地区)出身の18歳。東京へ出て苦学しようと志して上京したもの…
釜石で横行する船舶部品泥棒(S4.9.3岩手日報) e釜石・遠野・上閉伊郡

釜石で横行する船舶部品泥棒(S4.9.3岩手日報)

昭和4年9月3日の『岩手日報』より。 釜石市須賀海岸では、修繕のため陸揚げされていた漁船から、シャフトなどの機械部品が何者かによって盗まれるという事件が発生した。 実は、こうした漁船部品の盗難は、すでに昭和2年頃から相次いで発生していたという。とくに修理のために陸に引き上げてある漁船は、ほとんどが被…
「軍馬の里」六原の毛皮商殺し(S4.1.4) h水沢・江刺・胆沢郡

「軍馬の里」六原の毛皮商殺し(S4.1.4)

昭和4年1月4日朝、岩手県胆沢郡水沢町(現・奥州市水沢区)に住む毛皮商の男性が、「毛皮を買いに行く」と言い残して相去村(現・北上市相去町)の六原方面(現・胆沢郡金ケ崎町六原)へ向かったまま行方不明となった。彼は出発前、家族に「良い仕入れ先を見つけた」と話し、購入予定の毛皮の種類と枚数を紙に記して示し…
平泉・毛越寺で国宝を盗んだまではよかったが、いや良くないが i一関・西磐井郡

平泉・毛越寺で国宝を盗んだまではよかったが、いや良くないが

昭和2年7月14日の東京朝日新聞・読売新聞より。 前年の大正15年9月、平泉・毛越寺から国宝数点が盗み出された。 藤原秀衡納「仏説宝網経」 釈尊直使「乱蛇体」 大原實守作名刀 運慶作仏像「毘沙門天」 玉手箱 これらは合計で当時の価格にして5~60万円相当の者であったという。 それで、岩手県警察部では…