備考※3

水沢区裁判所で猫を失火罪で訴える珍無類な裁判(S5.3.1岩手日報) h水沢・江刺・胆沢郡

水沢区裁判所で猫を失火罪で訴える珍無類な裁判(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の『岩手日報』には、裁判所で繰り広げられた少し風変わりな一幕が紹介されている。 水沢区検事局から「失火罪」に問われたのは、江刺郡愛宕村(現在の奥州市)に暮らす当時33歳の女性だった。検察は略式命令として罰金20円を科したが、これに納得できなかった女性は、正式裁判を求めて異議を申し立て…
星チェーンストア岩手・青森県連合大会を開催します(S5.3.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

星チェーンストア岩手・青森県連合大会を開催します(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報には、ある注目すべき告知が広告欄に掲載されていた。 それは、「岩手・青森県連合星チェーンストア大会」の開催告知である。会場は盛岡市の県公会堂、日程は昭和5年(1930年)3月5日 午前10時とされている。 この「星チェーンストア」とは、あの星製薬が展開した、日本で最初期の本…
岩手県の新生児死亡率は「ベラボーに高率」(S5.3.1岩手日報) l全県

岩手県の新生児死亡率は「ベラボーに高率」(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報より。 記事によると、当時の岩手県では嬰児(乳児)死亡率が他府県に比べて「ベラボーに高率」とされ、深刻な問題として県当局が受け止めていた。具体的な統計数字は掲載されていないものの、その表現から事態の切迫感が伝わってくる。 これに対して岩手県の社会課は、乳児の死亡を防ぐための…
函館で不敬事件発生。内容は極秘(S5.3.1岩手日報) m県外・参考

函館で不敬事件発生。内容は極秘(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報によれば、函館市で不敬事件が発生し、関係者が拘束された。 事件は、函館地方裁判所の令状に基づき、潮見刑務所支所で取調べが行われたとされているが、その内容は「極秘」とされており、一切が伏せられている。罪名として「不敬罪」が示されているのみで、具体的にどのような発言や行動が問題…
選挙違反の捜査は医師やレントゲン写真まで(S5.3.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

選挙違反の捜査は医師やレントゲン写真まで(S5.3.1岩手日報)

昭和5年の岩手県議会議員選挙をめぐり、盛岡地方裁判所検事局は大規模かつ徹底的な選挙違反捜査を展開していた。 この日報じられたのは、その取り調べが医療の領域にまで及んだという事実である。容疑の一つに「病気を装っていたのではないか」という疑惑が浮上し、検察はその裏付けとして病院関係者を聴取したのみならず…
原敬を暗殺した大塚駅転轍手の家族のその後(S5.3.1岩手日報) m県外・参考

原敬を暗殺した大塚駅転轍手の家族のその後(S5.3.1岩手日報)

大正10年11月4日、日本の総理大臣・原敬が東京の大塚駅で刺殺された。犯人は当時24歳の鉄道省転轍手・中岡艮一であり、裁判の結果、無期懲役の判決を受けた。 それから9年後の昭和5年3月1日、岩手日報には服役中の艮一の出所が近いという報道が掲載された。その記事では、東京・大塚駅近くで支那そば屋を営む艮…
盛岡・紀年館では日活「修羅城」「父」公開(S5.3.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

盛岡・紀年館では日活「修羅城」「父」公開(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報より。 この日の盛岡「紀年館」の広告には、日活配給の2本の映画――『修羅城』と『父』の上映が告知されていた。 『修羅城 水星篇・火星篇』(1929年10月1日公開)は、池田富保が原作・脚本・監督を務めた、日活太秦撮影所によるオールスター時代劇。18巻・無声・モノクロ・上映時…
宮古ではカツオ漁船が全滅の危機(S5.3.1岩手日報) d宮古・下閉伊郡

宮古ではカツオ漁船が全滅の危機(S5.3.1岩手日報)

昭和5年(1930年)3月1日の『岩手日報』から、今では信じがたいような記事が掲載されていた。見出しには「カツヲ不漁から廃業者続出 宮古港に鰹船絶滅か」とある。 令和の現在では、宮古港はサンマやタラなど北の魚で知られる存在であり、「カツオ」と聞けば高知や鹿児島・枕崎といった南国のイメージが先に立つだ…
少年航空兵に県内でも相応な数が応募(昭和5年3月1日) l全県

少年航空兵に県内でも相応な数が応募(昭和5年3月1日)

この年から、海軍では新たに「少年航空兵」の募集を始めることとなった。 「少年航空兵」とは、年少のうちから選抜・教育され、将来の海軍航空隊員として育成される制度である。身体的・精神的に健全で、かつ将来的に飛行機乗りや航空技術者としての資質を持つ者が対象とされた。 横須賀鎮守府管内での採用枠は40名とご…
盛岡に「航空少年団」(S5.3.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

盛岡に「航空少年団」(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報より。 昭和初期、盛岡には伊東左内という飛行家がいた。 当時の陸軍の根拠地であった観武ヶ原(現在の盛岡市みたけ一帯)には、彼が自費で設けた「伊東飛行場」が存在していたという。個人で飛行場を持っていたという点で、当時としては相当な情熱と財力が感じられる。 (詳細は以下のブログ…
盛岡の八幡町遊郭では娼妓にアンケート取って改革します!(S5.3.1岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

盛岡の八幡町遊郭では娼妓にアンケート取って改革します!(S5.3.1岩手日報)

昭和5年3月1日の岩手日報には、盛岡市八幡町の貸座敷組合(遊郭)において、時代に即した改革が実施されることが報じられている。 記事によれば、貸座敷組合では、当時約80名にのぼる娼妓に対しアンケートを実施。その結果を踏まえて、以下のような改革案が採用された。 勘定書は仲居に持たせることとし、娼妓の手当…
トラホームは「虎眼」?(S5.3.1岩手日報) h水沢・江刺・胆沢郡

トラホームは「虎眼」?(S5.3.1岩手日報)

昭和5年(1930年)3月1日の『岩手日報』には、今ではあまり見かけない病名が登場する。それが「虎眼(とらめ)」、すなわちトラホームである。 記事によれば、水沢町(現・奥州市)では3月4日、徴兵年齢に達した壮丁者たちに対し、虎眼の検診が行われるという。 トラホームとは、クラミジア属の細菌によって引き…
盛岡には失業者が300人以上(S4.9.6岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

盛岡には失業者が300人以上(S4.9.6岩手日報)

昭和4年(1929年)9月6日の『岩手日報』には、盛岡市職業紹介所の8月の就職状況が記されている。 求職者は男68名、女17名の計85名だったが、そのうち就職できたのは男30名、女11名の計41名。半分以上があぶれていた計算になる。記事によれば、男性は珍しく「店員や行員」といった職に就く例が多かった…
「必然的に滅亡する悲惨な山村」とまで酷評された村(S4.9.6岩手日報) d宮古・下閉伊郡

「必然的に滅亡する悲惨な山村」とまで酷評された村(S4.9.6岩手日報)

昭和4年(1929年)9月5日、東京帝国大学(現・東京大学)の渡辺助教授が、下閉伊郡小国村での農村調査を終えて盛岡を訪れ、その晩21時28分発の列車で青森へ向かった。その調査結果は、きわめて厳しいものであった。 調査によれば、小国村は原始共産制に近い共同体構造を持っており、さらに「隠し念仏」と呼ばれ…
花巻で最初の朝鮮人の小学生(S4.9.6岩手日報) f花巻・稗貫郡

花巻で最初の朝鮮人の小学生(S4.9.6岩手日報)

昭和4年9月、花巻小学校に初めて朝鮮人の児童が入学したことが、当日の岩手日報に報じられている。 記事によれば、この児童は花巻町に居住していた家庭の子で、学齢に達したため正式に小学校へ編入された。学務課の指導により、学校側も円滑な受け入れに努めたという。 当時、地方における朝鮮人児童の就学例は非常に稀…
一面は広告欄(S4.9.6岩手日報) l全県

一面は広告欄(S4.9.6岩手日報)

昭和4年9月6日の『岩手日報』一面を開くと、目に飛び込んでくるのは新聞記事ではなく、所狭しと並ぶ地元企業の広告の数々である。見出しも記事本文もなく、紙面全体が広告に費やされている。 とりわけ目立つのは、「松屋百貨店」の創業二周年記念感謝大売出しの広告だ。丸に「松」の紋を大きく掲げ、扇風機や下駄、時計…
岩手公園の南部中尉の愛馬の銅像が怪我しました(S4.9.5岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

岩手公園の南部中尉の愛馬の銅像が怪我しました(S4.9.5岩手日報)

昭和4年9月、盛岡市の岩手公園でちょっとした“異変”が起きました。園内に建てられていた南部利祥(としなが)中尉とその愛馬の銅像のうち、馬の像の一部に破損が見つかり、足場を組んでの修復作業が行われているのです。 写真に見えるのは、銅像の周囲を囲う足場と、その上で作業を行う職人たちの姿。まるで本当に「怪…
立川飛行場の陸軍機が厨川村の雫石河畔に不時着(S4.9.5岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

立川飛行場の陸軍機が厨川村の雫石河畔に不時着(S4.9.5岩手日報)

昭和4年9月5日の岩手日報に掲載されたニュースによれば、立川飛行場所属の陸軍機が厨川村の雫石川河畔に不時着するという事故が発生した。 この陸軍機は弘前から立川へ戻る途中だったが、厨川村上空で何らかの事情により飛行を続けることが困難となり、最終的には雫石川の高圧電線に接触。そのまま川の河原に不時着した…
川井と花巻で自動車事故(S4.9.5岩手日報) d宮古・下閉伊郡

川井と花巻で自動車事故(S4.9.5岩手日報)

昭和4年(1929年)9月3日、小国村で行われた早池峰神社の祭典に関連し、2件の自動車事故が報じられました。 ひとつは、小国村と江繋村の境界付近で発生した事故です。参詣者を満載したトラックに乗っていた34歳の男性が、酒に酔った勢いで走行中に突然車外へ飛び降りました。ちょうど後続していた車の進路に滑り…
苦学の夢に敗れ貨物列車に飛び乗って帰郷(S4.9.5岩手日報) g北上・和賀郡

苦学の夢に敗れ貨物列車に飛び乗って帰郷(S4.9.5岩手日報)

昭和4年9月4日の明け方、黒沢尻駅(現在の北上市)に到着した盛岡行きの貨物列車に、場違いな姿の若者が一人混じっていました。これに気づいた駅員は不審に思い、青年を派出所に引き渡しました。 調べてみると、この青年は沿岸・田老村(現在の宮古市田老地区)出身の18歳。東京へ出て苦学しようと志して上京したもの…
「一寸法師歌劇団」が来朝(S4.9.5岩手日報) m県外・参考

「一寸法師歌劇団」が来朝(S4.9.5岩手日報)

昭和4年9月3日、ある小さな人々の一行が「来朝」したとの報が、9月5日の『岩手日報』に掲載された。その名も「一寸法師歌劇団」。男女混成の近代的な一座でありながら、身長わずか二尺三寸(約70cm)から二尺九寸(約100cm)という小人症の団員たちで構成された異色の歌劇団である。 団員たちは、いわゆる「…
一関中学の野外教練で卒倒者続出(S4.9.5岩手日報) i一関・西磐井郡

一関中学の野外教練で卒倒者続出(S4.9.5岩手日報)

昭和4年9月2日、一関中学校(現・岩手県立一関第一高等学校)では、夏休み明けの始業式が行われた。 しかしこの年、校舎の第1期改築工事は終わっていたものの、内部はまだ未完成で、教室として使用できる状態ではなかった。そのため、やむを得ず毎日2時間にわたる野外教練が行われることになっていた。 始業式では、…
仙北町裏田んぼでイナゴ取り(S4.9.3岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

仙北町裏田んぼでイナゴ取り(S4.9.3岩手日報)

この日の紙面に掲載されたのは、わずか1枚の写真記事でした。 盛岡市仙北町の裏田んぼにて、数人の女性や子どもたちが、虫取り網や手桶を携え、イナゴを採っている風景が写っています。 記事の見出しは「イナゴはとられる」と簡潔にして印象的。 夏の終わりから初秋にかけて、農村ではイナゴを食料として採集する風習が…
釜石で横行する船舶部品泥棒(S4.9.3岩手日報) e釜石・遠野・上閉伊郡

釜石で横行する船舶部品泥棒(S4.9.3岩手日報)

昭和4年9月3日の『岩手日報』より。 釜石市須賀海岸では、修繕のため陸揚げされていた漁船から、シャフトなどの機械部品が何者かによって盗まれるという事件が発生した。 実は、こうした漁船部品の盗難は、すでに昭和2年頃から相次いで発生していたという。とくに修理のために陸に引き上げてある漁船は、ほとんどが被…
岩手出身の美術教師が帝展で入選(S4.9.2岩手日報) m県外・参考

岩手出身の美術教師が帝展で入選(S4.9.2岩手日報)

昭和4年の帝国美術展覧会(帝展)において、東京府立第一高等女学校(現・東京都立白鷗高校)の美術教師・橋本花子さんが、「七面鳥」と題する作品で新入選を果たした。しかも今回は「折紙付きの特選」として、高い評価を受けたことが紙面で紹介されている。 橋本さんは青森市の出身で、女子美術学校(現・女子美術大学)…
横綱・宮城山が郷土で土俵入り(S4.9.2岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

横綱・宮城山が郷土で土俵入り(S4.9.2岩手日報)

昭和4年9月、郷土・岩手が生んだ横綱・宮城山が盛岡に凱旋し、大相撲巡業の開催に先立って、盛岡市の大慈寺境内にある原敬の墓所前にて、厳かに四股を踏んだ。 この土俵入りは、郷土出身の横綱による特別な儀式として行われたものであり、政界の巨星であった原敬に対する敬意を込めた所作でもあった。神前にも似た静けさ…
渇水に悩む県南の電力事業者は火力発電所設置計画(S4.9.2岩手日報) h水沢・江刺・胆沢郡

渇水に悩む県南の電力事業者は火力発電所設置計画(S4.9.2岩手日報)

昭和4年9月2日付の岩手日報には、県南地域の電力供給をめぐる深刻な課題が報じられている。 記事によれば、当時の胆江・一関町営・気仙の三つの電力会社が、水力発電の限界に直面し、火力発電所の設置を検討していたという。 当時の地方電力は、ほとんどが河川を利用した水力発電に依存しており、渇水となれば発電能力…
二百十日は無事に過ぎる(S4.9.2岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

二百十日は無事に過ぎる(S4.9.2岩手日報)

昭和4年9月2日の『岩手日報』によれば、農家にとって最も恐れられる「二百十日(にひゃくとおか)」——台風の来襲が多い厄日——が、今年は大きな被害もなく無事に過ぎたという。 掲載された写真は、盛岡市梨木町の田んぼの様子と思われる。黄金色にたわわに実った稲が、風にそよぎ、秋の穏やかな陽射しのもとに静かに…
今度の盛岡税務署長は「鬼熊事件」で有名な千葉県の佐原出身(S4.9.2岩手日報) a盛岡・岩手郡・紫波郡

今度の盛岡税務署長は「鬼熊事件」で有名な千葉県の佐原出身(S4.9.2岩手日報)

昭和4年9月2日の『岩手日報』には、盛岡税務署に新たに着任した署長についての記事が掲載されている。 この新署長が盛岡駅に到着したのは、9月1日の午前11時36分着の列車。岩手日報の記者に対し、彼はまず丁重にこう述べたという。 「赴任が意外に遅れまして、まことに申し訳ございませんでした」 話を聞けば、…
宮古町で腸チフス流行(S4.9.1岩手日報) d宮古・下閉伊郡

宮古町で腸チフス流行(S4.9.1岩手日報)

昭和4年9月1日付の岩手日報には、下閉伊郡宮古町における腸チフス流行の模様が伝えられています。 記事によれば、当時の宮古町では腸チフスの患者がすでに10名に達しており、町内の隔離病舎(定員14名)の収容力が限界に近づいていました。通常であれば数名の発症にとどまるところ、今回は綟々(れいれい)と患者が…