新しい岩手県公会堂のこけら落としは照井栄三らが出演(S2.6.27岩手日報)
1927年6月27日
2026年2月22日
盛岡のシンボル、「岩手県公会堂」が誕生した瞬間の熱狂をご存知でしょうか?
昭和2年(1927年)6月27日付の岩手日報には、オープン間もない公会堂で行われた「郷土出身者大音楽会」の様子が、現代のライブレポ顔負けの熱量で記されています。
昭和2年(1927年)6月27日付の岩手日報には、オープン間もない公会堂で行われた「郷土出身者大音楽会」の様子が、現代のライブレポ顔負けの熱量で記されています。
満員御礼!「立錐の余地なし」の熱狂

記事の見出しには、力強い文字でこう躍っています。
「聴衆の感激その極に達し 破るが如き拍手繰返へさる」
会場は、文字通り「立錐の余地なし(きりを立てる隙間もない)」ほどの超満員。午後6時の開演時にはすでに満席で、入場できず泣く泣く引き返す人も続出したといいます。当時の岩手の人々がいかに文化・芸術を待ち望んでいたかが伝わります。
岩手が誇る「五氏」の豪華共演
この夜、ステージに立ったのは当時の音楽界をリードした郷土出身の精鋭たちでした。
- バリトン:照井 栄三 氏
本公演の主役。シューベルトの「魔王」やビゼーの「闘牛士の歌」を披露。郷土の温かい歓迎に「言葉に苦しみます」と涙ぐむ場面も。 - 提琴(バイオリン):赤澤 長五郎 氏
繊細な音色で聴衆を魅了し、公会堂の新しい響きを確認させました。 - ソプラノ:武岡 鶴代 氏
華やかな歌声で会場を彩りました。 - ピアノ:榊原 直 氏
確かな技術で共演者を支え、音楽会の格を高めました。 - ピアノ:瀬川 良隆 氏
同じく卓越した演奏を披露し、プログラムに厚みを加えました。
100年の時を超えて
写真に写る燕尾服姿の照井氏と、それを見つめる着物姿の聴衆。このコントラストこそが、近代化へと突き進む当時の岩手のエネルギーそのものです。
今私たちが何気なく見上げている岩手県公会堂。その壁には、かつて先人たちが鳴らした「破るが如き拍手」の記憶が今も刻まれているのかもしれません。
