花巻の抱酌婦殺し(S4.11.27)
1929年11月27日
2025年7月29日
昭和4年11月27日、岩手県稗貫郡花巻町四日町(現・花巻市四日町)の料理屋「蔦屋」で、女将と抱酌婦が絞殺される事件が発生しました。現場は、東北本線花巻駅から東に位置し、国道から東へ約1丁ほど入った住宅街の中にありました。この日、深夜12時頃に若い男の客が来店し、抱酌婦とともに2階で酒を飲んだ後、階下の部屋で同衾。男はその際、抱酌婦を絞殺し、さらに1階の常居で就寝していた女将も殺害しました。
翌朝11月28日、隣家の住人が店の異変に気付き、雇人が室内を確認したところ、2人が絞殺されているのを発見しました。花巻警察署が現場検証を行った結果、店内から金品が奪われていることが判明し、犯行は強盗目的と断定されました。
その後、近隣の東公園遊園地で発見された小包の包装紙を手がかりに、過去に詐欺罪で服役していた男が容疑者として浮上。この男は昭和4年11月26日に秋田刑務所を出所し、紫波郡赤沢村(現・紫波町赤沢)の実家に帰る途中でした。
当時、田沢湖線は未開通で、秋田から紫波に向かうには横黒線(現在の北上線)経由で花巻を通るのが一般的なルートだったため、犯人はその途中で花巻に立ち寄ったことが確認されました。
捜査員は、容疑者が犯行翌日の朝、花巻駅から仙台行きの列車に乗ったことを突き止め、仙台市内で逮捕しました。取り調べで、彼は抱酌婦を金欲しさに殺害し、さらに女将も絞殺して現金や金品を奪ったと自供。裁判では死刑判決が下され、その後の控訴や上告も棄却され刑が確定しました。