松屋デパートで初売御礼大売り出し(昭和7年1月4日)

昭和7年1月4日の岩手日報に掲載された、盛岡の百貨店「松屋」の広告。そこには現代の私たちが忘れてしまったような、新春の熱気がそのまま封じ込められています。

まず目を引くのが、右側に記された「初賣 盛況御禮大賣出し」という力強い言葉です。その横に添えられた挨拶文には、輝やかしい新年初頭の初売は望外の盛況を得ました、と記されています。「望外」という言葉からは、店側の予想をはるかに上回るほど、中ノ橋の通りが人で埋め尽くされた様子が伝わってくるようです。

特に当時の人々の心を躍らせたのが、お買上げ一圓(1円)毎に引けた「充実せる七福神福引」でしょう。当時の1円は、現在のお金に換算するとおよそ2,000円から3,000円ほどの価値に相当します。かけそばが1杯15銭ほどだった時代ですから、1円あれば6〜7杯は食べられた計算です。決して安い金額ではありませんが、正月の景気づけにはちょうど良い設定だったのかもしれません。
福引の景品リストを眺めると、当時の暮らしのありようが見えてきます。毘沙門天には毛布や銘仙、弁財天には紅白裏地各一反づつ、寿老人にはネルやメリヤスといった具合に、布地や衣類がずらりと並んでいます。なかでも布袋尊の景品に「ラグビーシャツ」というハイカラな品が混ざっているのは、昭和初期という時代のモダンさを象徴しているようで興味深い点です。
広告の最後には、盛岡市中ノ橋 松屋、という文字が大きく構えています。中ノ橋という盛岡の中心地で、多くの市民がこの福引に一喜一憂し、新しい年の始まりを祝ったのでしょう。
90年以上前の一枚の新聞広告。そこには「望外の盛況」という言葉通り、不況を吹き飛ばすような当時の盛岡の力強い活気が、今もなお息づいています。


showa
  • showa

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です