今晩のラジオ(S26.4.1夕刊いわて)
昭和26年4月1日の夕刊いわて。そこにはテレビ放送が始まる前の、人々の生活に寄り添っていたラジオ番組の熱気が凝縮されています。当時のラジオは第一放送と第二放送で役割が分かれ、夕方から夜にかけて実に多様なコンテンツが並んでいました。
番組表を詳細に読み解くと、当時の岩手の夜を彩った放送内容が鮮明に浮かび上がります。
第一放送
* 5:15 子供の時間「三太物語」(金田一明ほか)
* 7:15 アメリカ便り(坂井米夫氏発)
* 7:30 今週の明星(紅白江嘉木)
* 8:00 漫才「わたしのロマンス」(古今亭志ん生)
第二放送
* 5:30 読書案内「英国労働党の歩み」
* 7:00 趣味の会 文芸俳句(中村草田男)
子供たちが夢中になった三太物語から、古今亭志ん生の演芸まで、第一放送は娯楽の王道を行くラインナップです。一方で第二放送は、社会情勢や文化教養を深める硬派な番組が中心となっていました。
特に注目すべきは第一放送の夜7時15分から放送されていたアメリカ便りです。ここには特派員として坂井米夫氏の名前が明記されています。Wikipediaの記述では、坂井氏がこの番組を担当したのは1952年からとされていますが、この1951年4月の紙面ですでに活躍していたことが分かります。
ドナルド・キーン氏の日本語教師も務めた伝説的なジャーナリストが、ワシントンから岩手の家庭へ生の声を発信していた。そんな時代の息遣いが、この一枚の紙面からダイレクトに伝わってきます。当時のラジオの前に集まった家族たちが、どんな表情でこれらの放送を聴いていたのか。ノイズの向こう側に広がる昭和の夜に、思いを馳せずにはいられません。
当時のラジオ番組や坂井米夫氏の放送について、何かご記憶のある方はぜひコメントでお話を聞かせてください。