遠野の主婦殺害猟銃強奪事件(S55.3.16)

昭和55年3月、岩手県遠野市土渕町で農家の主婦(48)が惨殺され、猟銃と弾丸、手提げ金庫が盗まれる強盗殺人事件が発生した。事件が発覚したのは3月16日深夜0時半ごろ、主婦の夫(51)が帰宅し、自宅寝室で血まみれの妻の遺体を発見して通報した。

遺体は布団の上に仰向けで倒れており、顔、首、胸、腹、背中など全身70か所以上を鋭利な刃物で刺され、出血多量で死亡していた。現場には農業用フォークが寝室と玄関に残され、ガンロッカーから猟銃1丁と弾丸50発、さらに土地権利証などが入った手提げ金庫が盗まれていた。

犯人の足跡は玄関から寝室まで一直線に向かい、犯行後に板の間を通って引き返していた。犯行は夫が地元の公民館で会合に参加している間に行われた。司法解剖によれば、殺害時刻は午後7時半から9時半の間で、夫の母親(73)は事件には気づかなかった。

犯行後、荒川家東側の田んぼで刃渡り15cmの出刃包丁が発見され、被害者と同じ血液型の反応が出たため凶器と断定された。また、寝室に残されたフォークにも血痕反応が確認された。犯人の足跡や現場の状況から、身長168~175cmの成人男性とみられている。

現金には手がつけられず、犯人の動機が恨みや変質者による殺人なのか、強盗目的なのか判然とせず、捜査は難航している。事件前、土地や山林の処分に関する噂(事実でない)があったことから、物取りの線も捨てきれない。

犯行の残虐性や猟銃の強奪という不自然な要素、内部事情に詳しい者による犯行と推測される状況がある一方、有力な目撃証言が得られず、事件は未解決のままとなっている。消えた猟銃の行方も依然として不明である。


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