岩泉の独居老人殺人事件(S55.12.27)

昭和55年12月末、岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉で、一人暮らしの64歳の造林作業員が自宅で殺害される事件が発生した。12月27日午後7時45分頃、被害者の長男(32歳)が訪ねた際に遺体を発見し、岩泉署に届け出た。

被害者は寝室で上半身裸のまま、右側頭部から頭頂部にかけて鈍器で5カ所殴られ、脳損傷で死亡していた。近くには血の付いたマサカリが見つかり、これが凶器と断定された。また、現場には被害者のものではないゴム長靴の足跡が複数残されていたが、物色された形跡はなく、現金10万円入りの手提げカバンはそのまま残されていた。

司法解剖により、死亡推定日時は12月24日夜と判明。捜査本部は物取りや怨恨(恨み)による犯行の両面で捜査を進めた。事件から8日後の1月4日、重要参考人だった67歳の山林作業員が岩泉町内で首つり自殺した。この男は事件前日に事情聴取を受けており、自殺直前に「自分が罠にはめられた」と供述していた。また、遺書には「私は金のために人を殺さない」と記されていた。

捜査の結果、この男が犯行に関与していた可能性が高まった。彼の遺留品には被害者の血液型と一致する血痕が見つかり、事件後に不審な大金の使用も確認された。しかし、決定的な物証である着衣や靴は発見されず、犯行事実を裏付ける証拠が不足したため、事件は未解決のままとなった。昭和56年6月時点でも全面解決には至っていない。


showa
  • showa

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です