前沢町の主婦殺害事件(S57.3.9)

昭和57年3月9日午後0時20分ごろ、岩手県胆沢郡前沢町沖田で、46歳の会社員の自宅六畳居間にて、その42歳の妻が出刃包丁で胸を刺され仰向けに倒れているのを、農業を営む義姉が発見し、119番通報しました。消防署救急隊員が到着した時点で被害者はすでに死亡しており、居間には血痕が飛散していました。

岩手県警水沢署は、出刃包丁が深く刺さっていたことや、頭部に多数の傷があったことから殺人事件と断定し、「前沢町における主婦殺害事件捜査本部」を設置しました。本部には県警本部捜査一課、鑑識課、機動捜査隊、隣接各署の応援が加わり、大規模な捜査が開始されました。

司法解剖の結果、死因は胸部大動脈の損傷による失血死で、刺し傷は13.4センチの深さに達していました。さらに、頭部に10か所以上の切創や挫創があり、凶器は出刃包丁のほかに鈍器のような物も使用されたと判明しました。犯行時間は午前10時40分から午後0時20分までと推定されています。

当日は被害者が午前9時30分ごろに隣人と会い、10時30分ごろまでお茶をしていた後、10時40分ごろに義姉に通勤用バイクの受け取りを依頼する電話をかけていました。義姉が訪問した際、すでに被害者は死亡していました。

捜査では、現場付近で目撃された「白っぽい乗用車」の特定、犯行時刻付近の目撃証言、指紋や足跡の分析、周辺住民や関係者への聞き込みなどが行われました。これまでに延べ1万1千人の捜査員が動員され、1万8千台以上の車両調査や関係者の行動確認が行われましたが、犯人に直結する手がかりは得られていません。

動機について、当初は痴情や怨恨の可能性が注目されましたが、その後、現場から数万円が不明になっていることから、強盗殺人の可能性が有力視されています。事件は地域住民に大きな衝撃を与え、防犯意識が高まるきっかけとなりましたが、現在も専従捜査体制が維持されながら解決には至っていません。遺族は早期解決を強く望んでいます。

 


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