暴力団の大規模和牛窃盗事件(S61.11.29)
1986年11月29日
2025年10月25日
昭和61年11月29日夜から翌朝にかけて、岩手県紫波町北日詰地区で和牛36頭(時価約1,700万円相当)が盗まれる大規模な窃盗事件が発生しました。被害は、紫波町北日詰字城内にある牛舎からで、被害牛は黒毛和種や短角牛などでした。この事件は、地元畜産業者の恨みをきっかけに暴力団が計画・実行したものと判明しました。
警察は被害届を受け、現場周辺での聞き込みや高速道路紫波ICでの記録調査を進めました。捜査の結果、盗まれた和牛が山形県米沢市の牛舎に保管されていることが判明し、市場に出される直前で発見されました。和牛は「鼻紋」の照合により被害牛であると特定されました。
捜査が進む中で、この犯行は暴力団関係者が地元業者の恨みを利用し、資金獲得の目的で実行したものであることが明らかになりました。昭和62年1月に主犯の1人が宮城県で逮捕され、同年2月にはもう1人の容疑者が秋田県男鹿市で逮捕されました。
裁判では、この事件が地域の畜産業に与えた不安や損害の大きさが指摘され、被告人たちには懲役3年6か月の刑が言い渡されました。この事件は、東北地方の畜産業界における防犯意識向上の契機となりました。