盛岡大学の用地取得に絡んで贈収賄で関係者逮捕(S63.11.8)

昭和63年11月8日、学校法人生活学園盛岡大学の新キャンパス用地取得を巡る贈収賄事件で、岩手県警は強制捜査に踏み切り、同日夜、滝沢村の元税務課長および生活学園の関係者2名を逮捕した。容疑は、昭和60年12月中旬、農地転用などに有利な取り計らいを受ける謝礼として、盛岡市内のホテルで現金50万円を渡したというものだった。

その後の捜査で、当時岩手県総務部長であった前出納長が、同日夜に現金100万円を受け取っていた疑いが浮上し、昭和63年11月18日午前に逮捕された。生活学園が取得した滝沢村砂込の移転用地には、農業振興区域のうちでも特に農地転用が困難な第一種農用地が含まれており、生活学園側は昭和67年4月の大学進学者減少前に学部増設を実現すべく、早期移転を急いでいたとされる。

事件は岩手県政に大きな衝撃を与え、中村知事は昭和63年12月定例県議会で、翌年から6か月間、自らの報酬を10%カットすると表明した。逮捕された4人は昭和63年12月26日に起訴され初公判を迎えたが、前出納長は職務権限を否認し、滝沢村側は現金授受そのものを否定。以後、審理は分離して進められた。

一方、学校法人生活学園は事件と経営陣とは無関係としつつも、理事長と副理事長(親子)の減俸、副理事長の休職、盛岡大学副学長の辞任が行われた。財政面でも大きな影響があり、昭和64年度の私学助成金は、日本私学振興財団が50%、岩手県が20%を削減して交付。生活学園は新キャンパス移転費用などで多額の負債を抱え、平成元年5月、経営権を静岡県沼津市の学校法人沼津学園に譲渡した。


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