日本三景・松島の強盗殺人(S21.11.23)

昭和21年10月22日、岩手県盛岡市の桜山神社境内にある「桜山引揚者更生市場」で飲食店を営む男性(42歳)は、宮城県遠田郡不動堂村(現在の美里町不動堂地区)出身の復員者である男(24歳)から、「宮城県松島町で安価な外国製煙草が手に入る」との話を持ち掛けられました。当時、煙草は闇取引で高値がついており、男性は利益を期待して同行を決意しました。11月23日、二人は松島町へ向かいました。

松島町に到着した二人は、町内で煙草の売人を探しましたが、提示された価格は予想よりも高く、男性は取引を断念し帰宅を主張しました。しかし、男は男性が帰宅すると仲介料を得られなくなると考え、殺害を決意しました。11月23日午後4時頃、男は松島湾内の福浦島北方にある杉ノ崎の松林に男性を誘い込み、背後から石で頭部を殴打し、さらにネクタイで首を絞めて殺害しました。その後、男は男性の現金約3000円や所持品(ボストンバッグ、洋服上下、腕時計など)を奪い、遺体をその場に放置して盛岡市に戻りました。

その後、男は男性の妻に接触し、「煙草購入のために立て替えた金を返してほしい」と要求しましたが、妻は不審に思い警察に相談しました。盛岡警察署の刑事が捜査を進め、男を発見しましたが、男は一度逃走を試みました。しかし、逮捕され、所持品の調査と取り調べにより犯行を自供しました。警察は男の供述をもとに松島町の現場を検証し、内容が事実であることを確認しました。

昭和22年2月27日、盛岡地方裁判所は男に対し強盗殺人罪で死刑判決を言い渡しましたが、男は控訴しました。同年6月13日、仙台高等裁判所は無期懲役に減刑する判決を下しました。この事件は、戦後の社会混乱や復員者の厳しい生活環境が引き起こした悲劇の一例として記録されています。

 


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