釜石にいた長寿日本一「長生きはいいもんだなす」(S39.9.11岩手東海新聞)
1964年9月11日
2025年11月12日
昭和39年(1964)9月11日の岩手東海新聞には、当時「日本一の長寿者」として釜石市内の男性・中村翁(116歳)が紹介されています。嘉永6年(1853年)生まれ、まさに幕末から明治・大正・昭和を生き抜いた人でした。

記事によると、中村翁の住む釜石市尾崎白浜地区は「長寿村」として知られ、地域全体に穏やかな気風があったといいます。翁は敬老会に招かれ、記者の問いかけに対し「体の具合はまずまず良うござんす」と穏やかに答えています。
開会式を間近に控えた東京オリンピックの話題を振られると、「分がらながんす」と笑いながらも、現代の出来事にはまだ少し距離がある様子。そしてテレビについては「目が疲れるので10分程度、相撲を見るだけであんす」と話したといいます。
写真には、白髪を結い上げた中村翁がニッコリと微笑む姿。記者も「日本一の笑顔」と表現しています。
釜石の海を見下ろす長寿の里・尾崎白浜。昭和39年秋――東京では近代化の象徴であるオリンピックが目前に迫るなか、ここには幕末からの時をゆっくりと重ねてきた一人の老人の静かな笑顔がありました。