釜石で岩礁を爆破して昆布やワカメの養殖(S39.9.12岩手東海新聞)
1964年9月12日
2025年11月12日
昭和39年9月12日の『岩手東海新聞』によると、釜石市の白浜漁協では思い切った新漁法の実験が行われたという。

その方法は、なんと岩礁を爆破して海底地形を変え、そこに昆布やワカメを付着させて養殖を行うというものだった。
当時の白浜は、波が荒く岩礁地帯が多い海岸として知られていた。そこに人工的に「海の畑」を作ろうという発想は、まさに“海を耕す”試みだった。記事では、爆破の瞬間に白い水柱が高く上がる様子が写真付きで紹介されている。
この「岩礁爆破漁場造成」は、戦後の沿岸漁業振興策の一環として全国各地で試みられたもの。水産庁の指導のもと、潜水夫や漁師が協力して岩礁を砕き、海藻が根付きやすい環境を整えるという手法である。釜石白浜でも、昆布やワカメの養殖拡大を狙い、こうした実験的取り組みが進められていた。
昭和30年代の終わりは、沿岸漁業の転換期。漁獲資源の減少や機械化の波を受け、各地で新しい「増殖型漁業」への模索が始まっていた。
白浜の爆破風景は、そんな時代の“海づくり”への情熱を象徴する一枚だったのかもしれない。