陸軍特別大演習(S3.10.8岩手日報)

【タイムスリップ読解】昭和3年、岩手が「戦場」になった日。陸軍特別大演習の熱狂

皆さん、こんにちは。今日は、今から90年以上前、昭和3年(1928年)10月8日の「岩手日報」を紐解いてみたいと思います。

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この時期の岩手県は、まさに「軍都」のような活気に包まれていました。昭和天皇をお迎えして行われた「陸軍特別大演習」。そのクライマックスを伝える当時の紙面からは、現代では想像もつかないような高揚感が伝わってきます。


■ 観武ヶ原(みたけがはら)の決戦!「南北両軍」の激突

メインの見出しに躍るのは、『愈々(いよいよ)猛けふ(たけぶ)兩軍の精鋭 観武ヶ原で最後の大決戦』の文字。

現在の盛岡市北部に位置する「観武ヶ原(現在の青山付近)」が、演習の最終決戦地となりました。記事によると、北軍(侵攻軍)と南軍(防御軍)に分かれた精鋭たちが、降りしきる雨と泥にまみれながら、実戦さながらの攻防を繰り広げた様子が活写されています。

  • 「逃げる北軍に追ふ南軍!」
  • 盛岡に侵入!」

といった刺激的な小見出しが並び、当時の県民がいかに手に汗握ってこの「疑似戦争」を見守っていたかが分かります。地図入りの解説もあり、当時の作戦の緻密さが伺えますね。

■ 天皇陛下との距離:功労者たちの感激

紙面の中央で大きく扱われているのは、軍事的な動きだけではありません。『北田市長を先頭に 功労者廿三名を御召し』という記事では、当時の北田盛岡市長をはじめとする地域の功労者たちが、天皇陛下に拝謁した際の様子が記されています。

丸茂知事の談話として、「感激に満ちた單獨拝謁の御模様」が詳細に語られており、当時の人々にとって、天皇陛下が岩手の地を訪れ、直接言葉をかけられることがどれほど名誉なことであったかが痛いほど伝わってきます。

■ 街の風景:冷蔵庫に立ち寄る梨本宮殿下

非常に興味深いのは、当時の最新技術や施設も注目されていたことです。『梨本宮殿下、驛前(駅前)冷蔵庫に台臨』という小さなトピックがあります。

当時はまだ珍しかった「冷蔵庫(製氷・貯蔵施設)」を皇族が視察されたというニュースですが、当時の盛岡の近代化の歩みが垣間見えるエピソードですね。現代の私たちがコンビニで氷を買うのとは、全く違う重みがあったのでしょう。

■ 演習が生んだ「四つの特色」

今回の演習を総括する記事では、南参謀次長が今回の特色を語っています。

特色 内容
精神と技術 近代戦における精神力と技術の融合。
夜間行動 闇夜に乗じた高度な作戦行動の重視。
通信連絡 広範囲にわたる軍隊の通信技術の進化。
民軍協力 地域住民による多大な協力体制の確立。

結びに

広告欄に目を移すと、「天覧(天皇がご覧になること)」に供された名産品や、献上されたお菓子の広告が誇らしげに並んでいます。

昭和3年のこの数日間、岩手県は間違いなく日本の中心でした。雨の中、観武ヶ原を駆けた兵士たちの足音と、それを迎えた市民の歓声。黄色く色褪せた新聞紙面からは、そんな当時の「熱」がいまも立ち上ってくるようです。

歴史を知ることは、今の私たちが歩いているこの道のルーツを知ること。皆さんも、古新聞の中に眠る「地元の物語」を探してみてはいかがでしょうか。


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