昭和29年型のくろがねオート三輪売ってます(S29.1.12岩手日日)
1954年1月12日
2026年1月12日
昭和29年1月12日の岩手日日新聞に掲載された広告には、当時の活気あふれる一関の空気感が凝縮されています。紙面の中央でひときわ目を引くのは、1954年新型車として紹介されている「くろがね」の三輪車です。戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、日本の物流を支えたオート三輪の力強い姿が独特のタッチで描かれています。
広告主は一関自動車工業有限会社となっており、電話番号が三桁の234番である点に時代の流れを感じさせます。サービスステーションという名称や、連絡をすればすぐに説明に伺うという一文からは、当時の商売における丁寧な姿勢と熱意が伝わってきます。取り扱われている車種は1000ccの1トン積みから762ccの四分の三トン積みまであり、当時の岩手の未舗装路を力強く走っていた様子が目に浮かびます。
この記事が掲載された1954年は、映画ゴジラの第一作が公開された年でもありました。そんな時代の変わり目に、一関の街で新しい技術が普及し、人々の暮らしが少しずつ便利になっていく高揚感がこの一枚の広告から読み取れます。地域に根ざした一関自動車工業が、最新の三輪車を通じて地元の発展を後押ししようとしていた貴重な歴史の記録と言えるでしょう。
このような古い新聞広告は、単なる商品紹介を超えて、当時の人々の暮らしや地域の熱量を現代に伝えてくれるタイムカプセルのような存在です。セピア色の紙面に刻まれた「三輪車新発売」の文字からは、今から約70年前の一関を駆け抜けたエンジンの鼓動が聞こえてくるようです。