二戸郡では養豚に代わりウサギの飼養が盛んに(S3.9.1岩手日報)
1928年9月1日
2025年7月31日
かつて養豚が盛んだった岩手県二戸郡では、近年その様子が変わりつつある。記事によれば、従来は毎年約2,000頭の豚が飼育されていたというが、昭和3年当時、豚肉価格の低迷や飼料品の不足を背景に、飼育戸数は次第に減少。代わって注目されたのがウサギの飼育であった。
ウサギは手狭な場所でも飼えることに加え、飼料も比較的少なくて済むため、小規模な農家にとっては魅力的な家畜であった。特に奥中山地区では、1人で100頭以上を飼う者も現れ、その盛況ぶりがうかがえる。
こうした飼育熱の高まりを受けて、軍馬補充部中山派出所に対し、クローバーの払い下げを求める動きも出ていた。クローバーは良質な飼料として知られ、ウサギの飼育においても重要な役割を果たしていた。
養豚からウサギへ――
昭和初期の農村経済の変化を物語る一幕であり、当時の農家がいかに柔軟に時代のニーズに応じていたかが垣間見える。