夕顔瀬橋でヤナ遊び(S3.9.6岩手日報)
1928年9月6日
2025年7月29日
昭和3年9月6日の岩手日報には、盛岡市内を流れる北上川の夕顔瀬橋下流で、子どもたちが川遊びに興じる姿が写真付きで紹介されています。
記事の見出しは「梁あそび」。写っているのは、褌(ふんどし)姿の子どもたちが浅瀬にしゃがみ込み、梁(やな)に集まった魚を捕まえようとしているところです。梁とは、竹や木材などを組んで川の一部をせき止め、魚を誘い込む仕掛け。子どもたちは自分たちの手でこの梁を組み、網や素手で魚を捕まえようとしているようです。
場所は盛岡市内の夕顔瀬橋の下流。現在でも散歩道として親しまれるこの一帯ですが、昭和初期にはこうして自然の川を遊び場とする子どもたちの姿が日常の一風景でした。水に濡れながらも夢中になって魚を探す様子からは、暑さの中にも生き生きとした子どもたちのたくましさが感じられます。
特別な道具もなく、ただ川と石と木だけを使った素朴な遊び。それでも子どもたちにとっては大きな冒険だったことでしょう。まだプールやゲームといった娯楽が身近でなかった時代、こうした自然とのふれあいこそが、夏休みの記憶そのものだったのかもしれません。
この1枚の写真は、そんな昭和初期の盛岡の夏の日を、静かにそして鮮やかに今に伝えています。