山田町の兄殺し(S4.9.30)

昭和4年春頃、岩手県下閉伊郡山田町飯岡で、一家の長男(当時34歳)が継母(当時43歳)と不倫関係を持ち、家庭内に深刻な対立が生じました。父親(当時61歳)はこの関係を知って憤慨し、家庭内では争いが絶えなくなりました。次男(当時25歳)は家庭の平穏を取り戻すため、長男に出稼ぎを提案し、昭和4年9月20日頃に長男は釜石方面へ出発しました。しかし、長男は不倫関係を断ち切れず、出稼ぎからわずか1週間後の9月30日の夜に帰宅しました。

9月30日の帰宅によって家庭内の争いが再燃し、その夜遅く、些細な口論がきっかけで継母が家出しました。父親は継母を探して夜遅くまで町中を捜索しましたが発見できず、11時過ぎに疲れ切った様子で帰宅しました。帰宅後、父親は次男に長男の不倫関係に対する怒りを吐露し、家庭が崩壊していく悲しみを訴えました。次男はその話を聞いて兄に対する憤激を抑えきれず、家族のために兄を殺害する決意を固めました。一度は父親に制止されましたが、次男は感情を制御できず、兄が寝ている間に斧で頭部を攻撃しました。父親もこれを見て加担し、包丁で長男に致命的な傷を負わせました。

10月1日未明、父親と次男は遺体を隠すため、自宅にあった籠に遺体を入れ、数町離れた塵芥置き場まで運びました。遺体を土中に埋め、その上にゴミをかぶせて隠蔽しました。町内では長男の行方をめぐる噂が広まり、地元の駐在巡査が内密に捜査を開始しました。その結果、証拠が見つかり、父親と次男は警察に逮捕されました。

遺体は塵芥置き場から発掘され、解剖の結果、死因は頸部の刺傷による失血であることが判明しました。裁判では父親が懲役3年、次男が懲役6年の判決を受けました。


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