軍隊でも正月は朝風呂で楽しむ(S6.1.1岩手日報)
1931年1月1日
2025年8月4日
昭和6年1月1日の岩手日報には、軍隊におけるのんびりとした新年の様子が伝えられている。タイトルは「朝風呂に浸ってのんびり新年を祝ふ 楽しい軍隊生活」。
記事によれば、元旦の早朝、盛岡に駐屯する騎兵第3旅団では、兵舎ごとに紅白の幕が張られ、静かな年明けを迎えていた。兵士たちは夜明けとともに順に「朝風呂」に入って心身を清め、その後、整列して初日の出を仰ぎ、整然と新年の式典に臨んだという。
食堂では祝い膳が整えられ、お雑煮やお屠蘇も振る舞われた。ある兵舎では隊員が即席の餅つき実演を行い、上官たちがそれを見守っていたとも記されている。また、神社への初詣も許され、整列して市内の神社に参拝へ向かう隊列の様子が描写されている。
記事中には、「除隊に次ぐ楽しみ」との言葉も見られ、兵士たちにとって正月がいかに貴重で楽しみな時間だったかが伝わってくる。戦時中であれば口に出しづらくなったであろうこの本音も、昭和6年というまだ平時の空気が残る時代ならではの表現である。
のちに戦時体制が進行し、「兵営の正月」など想像すらできなくなる時代が訪れることを思えば、この一片の記事は貴重な記録であり、束の間の平穏を物語るものである。
