農家なら気になる「二百十日」、昭和6年はどうなる…?(昭和6年9月1日)
1931年9月1日
2022年1月26日
一年の節目の一つに「二百十日」というのがある。
これは、立春から数えて210日目のことを言い、毎年9月1日がこれに当たる。
この日は昔から台風がよく来ると言われており、せっかく育ててきた稲が台風で被害に遭うか遭わないかという重大な瀬戸際でもあったから、農家にとっては非常な一大事でもあった。
そこで、昭和6年9月1日の岩手日報では、気象台にコメントを取っている。
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盛岡測候所の話
地元の盛岡測候所のコメントは以下の通り。
現在、高気圧がオホツク海方面に会って発達しているので、これによって生ずる寒い気流が北海道、東北方面に拡張しているので一般に曇りがちの天気を見ているのですが、問題の二百十日も曇りという天気でしょう。
だが荒れる心配はないと思います。
近いうちに日照時の多い日が当分続くようなれば稲作その他一般の作物の作柄も大して心配するほどではなかろうと思います。
天気図は以下のようになっていた。
中央気象台 藤原博士の話
この日の新聞では、盛岡測候所だけではなく、中央気象台の藤原咲平博士からもコメントを得ている。
この時点では、中央気象台附属測候技術者養成所(のちの気象大学校)の主事の任にあり、中央気象台長岡田武松の補佐もしていた。
いわく、
本年は今までも非常に気候が遅れがちであったものが、去る9日以来急に涼しくなり今日あたりはちょうど9月半ばの涼しさになったけれども未だこのまま涼しくなってしまうものとは思われない。今一度暑さが来るであろう。
台風は今のところ来そうもない。
二日の二百十日はまず無事に過ぎそうだが、明日辺りまではなお天気はとかくぐずつきがちですっかり晴れ上がらないであろう。
気象衛星も国際的な観測網も無かったこの時代、熱帯での台風の発生など知りようもなかったのだ。