釜石・及新デパート「アーチイストを迎えてホリウッドスターのメイクを!」(S36.1.14岩手東海新聞)
1959年1月14日
2026年1月14日
昭和36年1月14日の岩手東海新聞に掲載された、釜石の及新デパートによるマックスファクターの広告から、当時の華やかな空気感を振り返ってみたいと思います。
この広告は、成人式のお祝いとして企画された美への招待という催しを知らせるものです。特筆すべきは、当時の釜石を代表する百貨店であった及新が、ハリウッドの輝きをそのまま街に持ち込もうとしていた熱量です。広告には、世界最高のメークアップの権威者であるマックスファクターの美容室と同じサービスを、数名のアーティストを招いて提供すると記されています。
今では世界的なブランド名として知られるマックスファクターですが、この当時は近代美容の父と呼ばれた創業者本人のカリスマ性と、映画スターだけが独占していた秘密の技術というイメージが非常に強かったことが文面から伝わってきます。冬の肌を守りつつ、より美しくなってほしいという願いを込めて、一般の女性たちにその門戸を開くという演出は、当時の女性たちにとってどれほど胸が高鳴る誘いだったことでしょうか。
当時の釜石は、後に始まる東海製鉄への技術者派遣や転勤による人口流出が本格化する前であり、人口9万人を数えたまさに最盛期の時代でした。製鉄の街として日本経済を牽引する活気にあふれ、浜町2丁目にあった及新のロゴの横には、代表電話番号として13という若い数字が堂々と刻まれています。
東北の一都市でありながら、最新の流行がいち早く届いていたモダンな街、釜石。その象徴でもあった及新デパートで、二十歳を迎えたばかりの女性たちがハリウッド直伝のメイクを教わっていた光景を想像すると、押し寄せる人波と未来への希望に満ちた当時の街の熱気が、鮮やかによみがえってきます。
