平泉町でマンボズボン男の農協強盗(S35.3.30)

昭和35年3月30日未明、岩手県平泉町にある長島農協で覆面強盗事件が発生しました。標高596メートルの束稲山の麓に位置する農協事務室に、二人組の男が便所の窓から侵入。宿直中の男性を脅迫し金庫の開錠を迫りましたが、鍵を知らないと拒否されたため、被害者を縛り、現金130円入りの財布と腕時計を奪って逃走しました。

被害者の証言によると、犯人は25歳前後で、一人は身長165センチメートルほど、もう一人は160センチメートルほど。二人とも黒色のマンボズボンを着用しており、上半身は暗い色の服装で統一されていました。覆面で顔を隠し、足元にはゴム製の長靴を履いていたとされています。犯人の言葉遣いから県南地方の出身者と推測されました。

隣接する厳美町(現・一関市厳美地区)で、事件5日前に似た手口の強盗事件が発生していたことが判明。厳美渓付近で起きたその事件では、土木作業員風の二人組が男性を脅迫し現金を奪うというもので、本件と非常に類似していました。この情報を基に特命捜査班が編成され、慎重な聞き込みや協力者工作を経て、窃盗前歴のある男性2名が容疑者として浮上しました。

彼らの行動や車の使用状況を追跡し、4月20日に任意同行の上で取り調べが行われました。頑強に犯行を否認していた2人でしたが、取り調べ開始から8時間後に1人が自供し、もう1人もこれに続きました。家庭環境に恵まれながらも遊興費欲しさに犯罪に手を染めたと供述。犯行に使用された登山ナイフや覆面用のマフラーも発見されました。

両名はその後、強盗罪で起訴され、昭和35年7月13日に懲役3年の実刑判決を受けて服役しました。この事件は地域の金融機関や住民に大きな不安を与えましたが、警察と地域住民の協力により早期解決に至ったと評価されています。


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