釜石専門店会の次郎長パレード(S38.7.1岩手東海新聞)

昭和38年7月1日付の岩手東海新聞を紐解くと、当時の釜石がいかに活気と遊び心に溢れた街だったかが鮮明に伝わってきます。中でも目を引くのは、前日の6月30日に行われた釜石専門店会による夏の売り出し宣伝パレードの記録です。

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このパレードは「次郎長一家罷り通る」と銘打たれたもので、驚くべきは清水次郎長を筆頭とする一家の面々を、すべて地元の商店主やその家族が演じていた点です。次郎長役に扮した藤原勝行さんをはじめ、大政や小政、森の石松といったお馴染みの役どころを、専門店会の事務局長や当時の店主たちが粋に演じきりました。

路上では次郎長の音頭に合わせて「お手を拝借、シャン、シャン、シャン」という威勢の良い手拍子が響き渡り、中にはレコードの音に合わせて踊り出す市民もいたほど、街全体が熱狂的な興奮に包まれた様子が記されています。写真に残る大きな団扇を掲げた一行と、それを囲む人だかりからは、商売人たちが自ら体を張って街を盛り上げようとした当時の力強いエネルギーを感じずにはいられません。

一方で、同じ日の紙面には当時の世相を映し出す事件も記録されています。かつて釜石駅前にあった名門の沢田屋旅館で、応接間に設置されていたテレビが盗まれたというニュースです。当時はテレビがまだ4万円もする超高級品だった時代であり、駅前の繁盛旅館を狙ったこの事件は、華やかなパレードの裏側で起きた衝撃的な出来事として紙面を飾りました。

次郎長一家が堂々と練り歩き、駅前の旅館には多くの人々が行き交っていた昭和38年。古新聞の中に残されたこれらのエピソードは、鉄の街として栄華を極めた当時の釜石の賑わいと、そこに生きた人々の息遣いを今に伝えてくれます。


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