釜石国際劇場で「魚雷艇109」「ドノバン珊瑚礁」上映(S39.1.7岩手東海新聞)

昭和39年1月7日付の岩手東海新聞に掲載された、釜石国際劇場の宣伝広告を振り返ります。東京オリンピックを控えた1964年の幕開け、釜石の街で上映されていたのは、奇しくも時代のうねりを象徴するような洋画の2大巨編でした。

Screenshot

広告の左側を大きく飾るのは、ジョン・F・ケネディ大統領の若き日の実戦記を描いた「魚雷艇109」です。前年の11月に暗殺という悲劇に見舞われたばかりのケネディ大統領をしのぶように、文部省選定や全国福祉協議会推奨といった文字が並び、社会的な関心の高さがうかがえます。駆逐艦天霧の体当たりによって真っ二つになった魚雷艇を脱出し、ケネディ中尉が部下を連れて泳ぎ抜いたという決死の闘魂は、当時の釜石の人々の目にも勇ましく映ったことでしょう。入場料200円という数字も、当時の物価を知る上で非常に興味深い資料です。

一方で広告の右側を賑わせているのは、ジョン・ウェインとリー・マーヴィンという2大スターが競演した「ドノバン珊瑚礁」です。監督は巨匠ジョン・フォードが務めており、南太平洋の島を舞台にした豪快なパンチとデッカイ面白さを売りにしたアクション大作として紹介されています。総天然色の鮮やかな色彩とVSTビジョンの迫力が強調されており、戦争の厳しさを描く左側の作品とは対照的に、カラッとしたアメリカ映画の娯楽性が全面に押し出されています。

この2つの作品を同時に上映していた釜石国際劇場の広告からは、当時の釜石が映画文化を享受する活気に満ちた街であったことが伝わってきます。1月9日から14日までという限られた上映期間の中で、大勢の市民が銀幕のスターたちに夢を馳せた光景が目に浮かぶようです。新聞の片隅に残された古い広告は、単なる宣伝を超えて、昭和39年という激動の時代を生きた人々の記憶や呼吸を今に伝える貴重なタイムカプセルといえます。


showa
  • showa

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です