釜石・錦館では「暁の合唱」「関東無宿」「見上げてごらん夜の星を」の三本立て(S39.1.8岩手東海新聞)

昭和39年1月8日の岩手東海新聞を開くと、当時の釜石・錦館がいかに活気に満ちていたかを物語る映画広告が目に飛び込んできます。1月9日から14日にかけて上映されていたのは、楽しさを満載した豪華3本立という贅沢なラインナップでした。当時の娯楽の王様であった映画の勢いを感じさせるこの紙面には、今では伝説となった名優たちの名前が所狭しと並んでいます。

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まず紙面中央でひときわ目を引くのが、日活制作の関東無宿です。主演を務めるのはマイトガイこと小林旭で、広告には意地と度胸の血路を開く、アキラが命を賭けて、といった勇ましい言葉が添えられています。共演には清純派として絶大な人気を誇った松原智恵子、そして名脇役として知られる伊藤雄之助が名を連ねており、豪快という文字通りの迫力あるアクションを予感させます。

右側に大きく配されているのは、東宝の暁の合唱です。こちらは胸おどる青春の夢、愛と友情で綴る若人の恋というキャッチコピーからも分かる通り、爽やかな青春群像劇です。主演の星由里子の弾けるような笑顔が印象的で、脇を固める顔ぶれも豪華です。後にウルトラマンのハヤタ隊員として一世を風靡する黒部進をはじめ、浜美枝、進藤英太郎、田代みどり、そして新珠三千代といった錚々たる俳優陣が揃っています。

さらに左側には、坂本九の国民的大ヒット曲を映画化した、松竹の見上げてごらん夜の星をが控えています。若者の心をガッチリとらえたグッと来ちゃうこのメロディという煽り文句と共に、坂本九の親しみやすい笑顔が描かれています。共演者には中村賀津雄や榊ひろみに加え、若き日の菅原文太が登場しているのも見逃せません。
これら3作品すべてに総天然色という文字が躍っており、カラー映画がまだ特別な贅沢だった時代に、釜石の人々が錦館のスクリーンに映し出される色彩豊かな世界にどれほど胸を躍らせたかが想像できます。鉄の街として栄えた当時の釜石において、これらスターたちが共演する3本立ての上映は、日々の疲れを吹き飛ばす最高のご褒美だったに違いありません。新聞のモノクロの誌面からも、当時の映画館が放っていた熱狂と、銀幕のスターたちに向けられた羨望の眼差しが鮮やかに蘇ってきます。


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