最も安い燃料費で最大の能率の粉炭ストーブで!(S41.11.3岩手東海新聞)

昭和41年11月3日、岩手東海新聞の紙面を飾った一枚の広告があります。それは釜石市大渡町の昆野商店が掲載した「イナドメ式粉炭ストーブ」の販売広告です。当時の冬の暮らしを支えた熱源の姿が、細かなキャッチコピーとともに克明に記されています。

広告の主役である粉炭ストーブは、最も安い燃料費で最大の能率を実証済みであると自信たっぷりに謳われています。その特徴は多岐にわたり、まず毎朝の焚き付けが不要であること、そして煙突掃除が一冬に一度だけで済むというメンテナンスの簡便さが強調されています。性能面では、粉炭を完全に燃焼させることで煮炊きが非常に早く、貯炭式のため室内温度の平均を保てるという利点があります。調節も自由で「こじれない」という扱いやすさに加え、中塊炭でも焚けるという汎用性の高さも売りとなっていました。

その暖かさは「春の暖かさがお部屋にいっぱい」と表現されており、厳しい北国の冬を待ち望む人々の心に響く言葉が添えられています。ラインナップは家族構成に合わせて用意されており、1号の大家族用が7,100円から、5号の小家族用が5,200円まで、各種取り揃えられていたようです。当時の物価を考えると、家庭における重要な設備投資であったことが伺えます。

また、粉炭ストーブの売出し記念として、購入者には石炭バケツ、十能(じゅうのう)、そしてデレッキの三点が進呈されるという、当時の冬支度には欠かせない道具一式のサービスも目を引きます。

昆野商店では、この粉炭ストーブ以外にも、オーバル型、円型、A型といった各種ストーブをはじめ、コークスストーブ、薪ストーブ、石油ストーブに至るまで幅広く扱っていました。広告の隅に記された電話番号は「311」という三桁の数字であり、釜石の街が活気にあふれていた時代の空気感を今に伝えています。この一枚の広告からは、技術の進歩によって冬の生活をより快適に変えようとしていた、昭和40年代の力強い暮らしの息吹を感じ取ることができます。


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