種市に火力発電所計画(S50.8.14)
1975年8月14日
2025年3月15日
昭和50年8月14日、東北電力は岩手県九戸郡種市町有家地区に火力発電所を建設する計画を発表した。県内の電力供給不足や東北新幹線の建設による電力需要の増加を背景に、燃料の受け入れが可能な海岸、強固な地盤、豊富な水源、国立公園外であることなどを立地条件として選定した。発電所は段階的に建設され、最初に発電出力60万kWの1号機が設置され、続いて2号・3号機も増設予定である。燃料は重油とナフサを使用し、冷却水は海水を利用する。町の財政にとっても固定資産税収入や雇用創出といった経済効果が期待された。
計画発表後、地元の地権者や漁協、自治会から公害への懸念や土地売却の拒否を理由に反対運動が広がった。特に、地権者は「土地を絶対に手放したくない」と強く主張し、反対期成同盟を結成した。町長は当初慎重な姿勢を示していたが、町民の意見を尊重する形で計画推進へと方針を転換した。町議会は反対陳情を不採択とし、行政は計画促進の方向へ統一された。しかし、地権者との十分な話し合いがないまま進められたため、反対派は「行政は住民の味方ではない」と反発を強めた。一方で、計画を支持する町民も増え、公害調査では「問題はない」との意見も出た。
東北電力は地元住民との対話を試み、漁協には海洋調査の許可を求めたが、一部漁協は即答を避けた。地権者は「調査受け入れは建設促進につながる」として頑なに拒否した。地元の土地への執着や内部対立が反対運動を複雑にしている。東北電力は「冷却期間を置く」としており、調査には2年を要する見通しで、建設計画の進展は依然として不透明な状況が続いている。