「ロッキード選挙」岩手では?(S51.12.5)
昭和51年12月5日、田中金脈問題やロッキード事件といった戦後長期にわたって続いた保守政治の体質を洗い直し、わが国の政治の80年代の展望をかけた第34回衆議院議員総選挙が行われました。岩手県内では1区と2区を合わせて全市町村で即日開票が行われ、翌6日午前4時35分に新議員の顔ぶれが確定しました。
今回の選挙は全国的に自民党、社会党、民社党、公明党、新自由クラブといった各勢力が激しく競り合う展開となりましたが、本県では全国的な傾向とは別に保守の圧倒的な強さが示されました。しかし、その内実は1区で定数4議席のうち3議席を新人が占めるという予想外の形となり、県民が求めた世代交代の波が鮮明になる結果となりました。
1区では、保守本流を自認する自民党を中心とした保守連合体制の行方が注目されましたが、選挙戦が展開されるにつれ、有権者の関心は古い政治体質への批判から、戦後長く続いた保守政治を新しい視点で正しく見つめ直すべきという考え方へとシフトしていきました。12月5日の投票では1区で74.35パーセント、2区で80.07パーセントの高い投票率を記録し、県民の関心の高さが裏付けられました。
選挙の結果、1区では無所属新人の玉沢徳一郎氏が7万3000余票を獲得してトップ当選を果たし、自民新人の中村直氏、社会新人の小川仁一氏がこれに続くという、新人3氏が上位を独占する異変が起きました。一方で自民党現職の山中貞則氏が落選し、本県選挙史上初めて新旧交代の節目を迎えました。当選した新人3氏は、若さと行動力のイメージが有権者に浸透し、浮動票を効果的に取り込んだことが勝因となりました。
2区においては、小沢一郎氏、志賀健次郎氏、椎名素夫氏の自民公認3氏が議席を独占しました。椎名素夫氏は亡き父である椎名悦三郎氏の地盤を引き継ぎ、前回より1万票以上も上積みをみせて当選を果たしました。自民党にとっては2区で3議席を確保するという長年の悲願が実現した形となりましたが、一方で社会党は昭和42年以来維持してきた2議席を失い1議席に後退するという、世代交代のしこりを残す結果となりました。
今回の選挙全体を振り返ると、公明党や民社党は全国的に躍進を見せましたが、本県においては組織体制の確立が遅れているという現実から各党とも苦しい戦いを強いられました。最終的にこの衆議院議員総選挙は、ロッキード事件という歴史的な不祥事を経て、国民が新しい政治の流れを強く切望し、それに応える形で劇的に世代交代が進んだ選挙として記録されることになりました。