花巻の夫婦殺害事件(S60.11.4)

昭和60年11月4日、岩手県花巻市高木地区で、夫婦が自宅で死亡しているのが発見される事件が発生しました。夫(61歳)は花巻市内の警備会社に勤務する警備員で、妻(57歳)は同市内の食料品店で事務員として働き、夫婦で農業との兼業で生計を立てていました。警察に通報したのは夫の雇用主で、夫が2日間にわたり無断欠勤していたことを不審に思い、自宅を訪れた際に息子とともに遺体を発見しました。現場の住宅は、花巻市街地から東に国道283号線を2.5キロ進んだ後、北方へ150メートルほど入った新興住宅地に位置する農村地帯でした。木造二階建ての家屋内は、台所裏ドア以外が施錠され、居間で夫婦が布団の上に倒れた状態で発見されました。

警察は当初、心中の可能性を考慮しましたが、遺体や現場の状況から他殺の疑いが強まりました。解剖の結果、妻は頸部を圧迫されたことによる窒息死、夫は扼頸による窒息死であることが判明。妻の遺体には肋骨骨折が見られ、夫の遺体には前額部や胸部に皮下出血が確認されました。

捜査の過程で、妻の勤務先や周辺からの聞き込みにより、妻が交際していた男性が容疑者として浮上しました。この男性は和賀郡東和町土沢地区に住む31歳の大工で、妻の出勤時の送り迎えをしていたとされています。供述によれば、男性は妻との関係が原因で結婚話が妨げられることへの怒りから犯行を決意。当日の深夜、花巻市高木地区の被害者宅に侵入し、寝室で妻を窒息させようとしましたが、夫に見つかり、先に夫を殺害。その後、妻を絞殺したと供述しました。

事件発生から4日後、男性は逮捕されました。取り調べで動機を認め、「妻を殺さなければ結婚できないと思った」と語りました。昭和61年4月23日、盛岡地方裁判所は被告に対し懲役15年の判決を言い渡しました。


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