全日空雫石事故(S46.7.30)

昭和46年7月30日午後2時3分頃、岩手県雫石町上空で札幌発羽田行きの全日空旅客機(ボーイング727型機)が航空自衛隊松島基地所属のF86Fジェット戦闘機と空中接触し、全日空機は水平尾翼を損傷して墜落した。この事故により乗員7人、乗客155人の計162人全員が死亡した。一方、自衛隊機の操縦士は脱出して生還した。

全日空機は高度8500フィートのジェットルートを飛行中で、訓練中の自衛隊機が接近したことで接触が発生した。自衛隊の訓練空域がジェットルートに隣接しており、訓練の安全性や民間航空路との調整不足が問題視された。

墜落現場は人家を避けた山中であり、地上の被害は最小限にとどまったが、遺体は損傷が激しく身元確認が難航した。事故後、フライトレコーダーや生存者の証言を基に事故原因が解明され、自衛隊パイロット2名が業務上過失致死などで起訴されたが、上層部への責任追及は行われなかった。

この事故は、国内初の空中接触による旅客機墜落事故であり、犠牲者数が日本航空史上最大となった。また、航空自衛隊の訓練方法や民間航空の安全性についての議論を引き起こし、今後の航空政策に大きな影響を与えた。


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