4年連続の豊作も一等米比率は低下(S62.11.30)
1987年11月30日
2025年5月25日
昭和62年(1987年)の岩手県における稲作は、作況指数107、10アール当たり542キログラムの収量を記録し、4年連続の豊作となった。特に初期の気候条件が良好で健苗が育成され、多数の有効茎を確保したことが主因である。一方、品質面では地域差があり、一等米比率は前年を下回る75%にとどまった。
この豊作は転作を進めたい政府にとっては望ましくない状況とされ、米の需給調整を目的に「米需給均衡化緊急対策」が講じられた。余剰米対策として学校給食や他用途米への振り替え、自主保管米の拡充などが行われ、岩手県農業団体も積極的に消費拡大運動に取り組んだ結果、68年度の政府売渡限度数量は上積みされた。
ただし、消費目標未達分は転作義務面積として扱われ、実質的な転作増加面積は237ヘクタールとなった。農産物の国際自由化圧力や4年連続豊作による計画の見直しにより、岩手県の農業確立計画も修正され、米の作付面積や生産額が下方修正された。今後は「量から質」への転換が求められ、ササニシキの出荷拡大と高標高地での米以外の作物への転換が推進されることとなった。