香港で岩手観光物産展(S49.1.17)

昭和49年1月、香港の中環にある香港大会堂において、いわてフェスティバル・イン香港が開催されました。3日間の会期中に約1万人が来場するという大きな成功を収めたこの催しは、当時の岩手県にとって海外市場への本格的な挑戦でした。

会場には南部鉄器や岩谷堂タンスといった伝統工芸品のほか、ワカメやシイタケなどの農水産物が多数展示されましたが、なかでも現地の関心を最も集めたのが三陸産のアワビやホタテでした。

岩手のアワビ、特に吉浜のアワビは、江戸時代の南部藩において長崎俵物として清へ輸出されていた歴史的な背景があります。当時の香港においても、三陸産の乾鮑は最高級の食材として広く認知されており、この物産展は古くから続く岩手と香港の深い縁を改めて象徴するものとなりました。

また、単なる商品の展示販売にとどまらず、現地で経済セミナーを同時開催した点も画期的でした。当時の千田知事や現地の経済人が参加し、自由貿易港としての香港の役割や、東南アジア市場の将来性について活発な議論が交わされました。

この物産展は、歴史的なブランド力を背景にしつつ、新しい時代の国際交流と販路拡大を目指した岩手県の先駆的な取り組みであったといえます。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です