一関の醸造メーカーが味噌・醤油を大売出し(S29.1.14岩手日日)

昭和29年1月14日の岩手日日の紙面を眺めていると、一関の暮らしの息吹が伝わってくるような興味深い広告が目に留まりました。一関駅前にあった醸造発売元である塩彌が掲載したもので、新発売を記念した大サービスの大売り出しを知らせる内容です。

皆様のお台所に醸造元が直接お送りするという心強いキャッチコピーからは、当時の産地直送へのこだわりと活気が伝わってきます。期間は1月14日から31日までとされており、卸価格で提供するという大盤振る舞いです。

具体的な価格を見てみると、ほてい印味噌が百匁で特選23円、上等20円、そしてフンドーホテイ印醤油が一升瓶で極上90円、最上80円と記されています。今の物価から考えると想像もつかないような数字ですが、当時の公務員の初任給が1万円に満たない時代だったことを踏まえると、家計を預かる方々にとってはこの数円の差が非常に大きな喜びだったに違いありません。

広告主の名称に塩屋改メという表記があるのも歴史を感じさせます。電話番号が三三六という三桁のみである点や、多少にかかわらず配達致しますという一文からは、当時の地域密着型の手厚い商いの様子がうかがえます。
一関の駅前で醤油や味噌の香りが漂っていたであろう約70年前の冬の日。新聞を広げた人々がこの広告を見て、冬の蓄えのために注文を検討していた光景が目に浮かぶようです。古びた紙面の一角に刻まれたこの小さな広告は、現代の私たちに当時の豊かな生活文化を静かに語りかけてくれています。


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