弘前無尽が増資新株式募集(S25.12.3岩手新報)

昭和25年12月3日の岩手新報に掲載された広告によれば、弘前無尽株式会社では増資にともない新株式の募集を行っていた。

この「弘前無尽」は、のちに弘前相互銀行を経て現在のみちのく銀行へと発展した金融機関である。無尽会社とは、現在の信用金庫や相互銀行の前身にあたるような地域密着型の金融業態で、相互扶助的な資金供給を行っていた。

公告によると、募集される株数は五万株、額面は一株五十円で、募集総額は二百五十万円となっている。当時としてはかなりの規模であったことがうかがえる。

また注目されるのは、岩手県内における営業拠点について、「盛岡会場」「福岡会場(二戸)」と記載されており、「支店」ではなく「会場」という言い回しが用いられている点だ。これは、無尽会社の性質上、固定店舗を構えるのではなく、会員が集う「場」としての色彩が強かったことの名残とも考えられる。

このような新株式募集の広告は、戦後復興期の地方金融機関が資本を集め、事業を拡大していこうとする動きを象徴するものであり、弘前無尽のような無尽会社が地域経済に果たした役割の大きさを物語っている。

 

 

 


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