御大典に際し御真影(S3.9.8岩手日報)

昭和3年9月8日付の岩手日報夕刊には、天皇陛下と皇后陛下の御真影が掲載された。陸軍の正装を纏い、勲章や佩剣をおつけになった天皇陛下、ティアラと勲章飾帯をお召しになった皇后陛下、それぞれの公式肖像である。

この御真影の発表は、昭和3年11月に京都で予定されていた即位の礼と大嘗祭、いわゆる御大典を控えたものである。天皇の御即位自体は昭和元年(1926年)12月25日、大正天皇の崩御にともなって行われていたが、御大典の儀式は一定の準備期間を経て行うのが慣例であった。加えて、崩御直後は服喪期間でもあり、大規模な祝典は慎まれる。そのため、実際の即位礼は昭和3年11月10日、大嘗祭は同年11月14日から15日にかけて、京都御所にて執り行われることとなった。

紙面には「天皇皇后両陛下御宣影」と記されており、公式な「お姿」を全国に届ける目的があったと見られる。掲載写真の脇には、陛下が全国の稲作状況に深いご関心を寄せられている旨の記事もあり、稔りの秋を前にした国民への思いが伝えられている。

こうした報道は、御大典を控えて国民の心をひとつにするための準備でもあった。皇室の存在が国民生活の中にいかに浸透していたかを示す一例であり、地方紙である岩手日報がこのように御真影を大きく掲載したことにも、その時代の空気がよく表れている。昭和という新しい御代の象徴として、御真影はまさに国民の手元に届けられた「時代の顔」であった。


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