仙北町裏田んぼでイナゴ取り(S4.9.3岩手日報)
1929年9月3日
2025年8月1日
この日の紙面に掲載されたのは、わずか1枚の写真記事でした。
盛岡市仙北町の裏田んぼにて、数人の女性や子どもたちが、虫取り網や手桶を携え、イナゴを採っている風景が写っています。
記事の見出しは「イナゴはとられる」と簡潔にして印象的。
夏の終わりから初秋にかけて、農村ではイナゴを食料として採集する風習がありました。佃煮にして保存も利くイナゴは、タンパク源としても貴重な存在だったのです。
さて、記事にある「仙北町裏田圃」とは、現在の盛岡市仙北町のどのあたりを指すのでしょうか。
一つの可能性として、現在国道4号線が通っている東仙北方面——つまり旧来の田園地帯が宅地化される以前のエリアが想定されます。
あるいは、東北本線の線路沿い、またはさらに西側の西仙北地区である可能性もあります。
いずれにしても、昭和初期の盛岡には、町のすぐ裏に田んぼが広がっており、農と生活がまだ地続きにあったことがうかがえます。
麦わら帽子を被った子どもたちの姿には、時代を越えた素朴な営みが感じられ、いまではすっかり姿を消した「町なかの田園風景」に、どこか懐かしさを覚えます。