好摩で秋祭りの夜の強盗殺人(S22.9.19)
1947年9月19日
2025年8月20日
昭和22年9月19日、岩手県玉山村好摩地区で行われた秋祭りの夜、40代の女性とその14歳の次女が殺害される事件が発生した。事件現場は自宅近くの瓜畑で、終戦直後の食糧難が背景にあった。
この日、地域の稲荷神社で秋祭りが催されていた。奉納相撲や各種の出し物が行われ、戦後の疲弊から解放された村人たちが一年に一度の楽しみを満喫していた。被害者の夫と長女も夕食後、祭りの相撲見物に出かけており、家には女性と3人の子どもが残されていた。
午後8時半頃、侵入者が女性の家の台所から白米を盗もうとした。その際、物音に気づいた女性が台所に現れ、犯人を目撃。女性は自宅南側の通路で犯人を追い詰めたが、鈍器と刃物で襲われ、命を奪われた。その場に居合わせた次女も同様に襲われ、母子は自宅南側の瓜畑で遺体となって発見された。
警察は、現場に散乱していた下駄や現場状況から、犯人が近隣住民であると推測。捜査の結果、隣家の住人が容疑者として浮上した。家宅捜索で盗まれた白米や、現場に残されていた下駄の片割れが発見され、犯行が立証された。取り調べの末、容疑者は犯行を認めた。
事件後、容疑者は強盗殺人の罪で起訴され、昭和22年12月に盛岡地方裁判所で死刑判決を受けた。控訴や上告も棄却され、刑が確定した。この事件は、戦後の厳しい食糧事情と秋祭りの賑わいの裏で起きた悲劇として村人たちに衝撃を与えた。