岩手県公会堂で「空気のなくなる日」上映(S25.1.14岩手新報)
1950年1月14日
2026年1月14日
昭和25年1月14日の岩手新報の紙面を眺めていると、当時の盛岡の日常が鮮やかに蘇ってくるような小さな広告に出会いました。それは内丸にある岩手県公会堂で開催された、映画上映のお知らせです。
会場となった公会堂は、現在も県庁の隣にその威容を残す、盛岡の歴史を象徴する建物です。昭和2年の開館以来、地域の文化拠点として親しまれてきたあの場所で、当時は映画の興行も盛んに行われていました。この日上映されていたのは、空気のなくなる日という不思議なタイトルの作品です。これは1949年に製作された、もし地球から空気がなくなったらという設定の空想科学映画で、大人も子供も楽しめる教育的な娯楽作として人気を博していました。
広告に目を向けると、おとな30エン、学生・生徒10エンという、現代では想像もつかないような観覧料金が記されています。戦後の復興期、娯楽がまだ少なかった時代において、映画は市民にとって最大の楽しみの一つでした。1月中旬の上映ということで、広告にはお正月番組という景気の良い文字も躍っています。厳しい寒さが続く盛岡の冬、内丸の公会堂に集まった人々は、白熱灯の灯るホールで肩を寄せ合いながら、銀幕に映し出される未知の世界に胸を躍らせていたのでしょう。
隅に描かれた素朴な鳥のイラストや星の装飾からは、当時の宣伝担当者の手仕事の温もりが感じられます。単なる情報の断片以上に、かつての盛岡の活気や人々の息遣いを今に伝える、非常に味わい深い資料と言えます。

