盛岡・DV男が嫁の友達を殺す(S29.8.30)

昭和29年8月30日午前9時30分ごろ、岩手県盛岡市不来方町(現在の盛岡市本町通1丁目)にある警察本部長公舎前路上で、人妻が殺害される事件が発生しました。男は盛岡市内に住む無職の46歳で、被害者は同市内の鉄道工場に勤務する35歳の女性でした。

男は妻と不来方町で暮らしていましたが、職を持たず、昭和24年ごろから肺の病気を患い、家庭の収入は妻の労働や生活扶助に依存していました。暴力的な性格で妻に対して暴力を振るうことが度々あり、妻は何度も家を出ることがありました。事件の直前も暴力から逃れるため、妻は盛岡市呉服町(現在の盛岡信用金庫本店や旧第九十銀行がある通り)に住む姉の家に身を寄せていました。

被害者の女性は男の妻に同情し、危険を避けるために姉の家に行くことを勧めていました。この助言が男の逆恨みを招き、妻の家出を唆したと誤解されることになりました。

8月30日の朝、男は被害者宅を訪ね、妻を迎えに行くよう説得しましたが、その際に被害者が男を批判する言葉を発したことで激怒しました。男はその場で手に取った木材を持ち、逃げ出した被害者を追いかけました。そして、警察本部長公舎近くの路上(現在の内丸通り)で被害者を捕まえ、頭部を激しく殴打して即死させました。

この惨劇は白昼、多くの目撃者がいる中で発生しましたが、男の暴力性を恐れて誰も止めることができませんでした。警察は事件の通報を受けて現場に駆けつけ、男を現行犯逮捕しました。

裁判では、男の精神的な問題や心神耗弱の状態が認められつつも、昭和30年2月24日に懲役15年の判決が下されました。その後、仙台高等裁判所の控訴審において、昭和30年6月14日に判決が破棄され、懲役10年に減刑されました。

この事件は白昼の盛岡市中心部で発生し、多数の目撃者がいる中での惨劇だったことから、当時の地域社会に大きな衝撃を与えました。


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