教室が寒すぎてクラスの半数が風邪に
昭和31年2月10日の岩手日報では、あまりの老朽校舎に教室を公民館に移転したものの、隙間風が寒すぎてクラスの半分が風邪をひく事態になったことを報じている。
このニュースは、現在は奥州市となっている胆沢郡前沢町の生母小学校母体分校。
築50年以上になるというので、1900年頃つまり明治30年代に建築された校舎をそのまま使っていたようで、あまりの老朽化に安全が確保できず、1年生39名は隣接する公民館で授業をすることにしたのだという。
しかし、この公民館にしても、そもそも学校の体育館を兼用しており、暖房が館内に散る上に隙間風でさらに寒い状態。
常に4℃以上の温度を保つようにして、町の教育委員会に手配して教室の後ろに火鉢を設置するようにしたのだという。
いや、「4℃以上に保つのがやっと」ってどんな環境・・・?
それで2月6日までに19人までが風邪をひいたのだという。
この生母小学校は、母体分校も合わせ北上川の左岸域で、「分校」という言葉から直感的に連想するほど深い山奥にあるわけではない。
この問題をどのように解決したかというと、この記事の5年後の昭和36年に本校である母体小学校を分校のある生母分校を生母小学校に、赤生津分校を赤生津小学校に分割したようである。
(そのタイミングで校舎を新築したのかどうかは、ちょっと調べきれていない)
そして、その生母小学校と赤生津小学校も水沢市や江刺市などと合併し奥州市が発足した後の平成26年(2014年)に、前沢小学校に合併している。
その前沢小学校の児童数であるが、令和3年(2021年)度の新入生は91名で、1学年当たり3クラスが組成できる程度にはいるようで(奥州市ホームページより)、さすがに「当時の分校よりもまだ子供がいない」という状態にはなっていないようである。