海というものを初めて見た山の分校の子供「なんて広かんべぇ!」
1956年7月11日
2021年10月19日
昭和31年7月11日読売新聞夕刊より。
下閉伊郡安家村の安家小学校坂本分校では7月2日に、宮古の浄土ヶ浜への修学旅行が行われた。
そもそも、安家村の坂本地区とはどのような場所であるか。
木炭や林業の村であったが、現金収入が非常に少ない部落であった。
「日本のチベット」と呼ばれる地域である。
最近、文部省の初等特殊教育課長が視察に訪れたが「これはひどすぎる!敎育向上のためにも修学旅行が必要だ」。
しかし、修学旅行に行こうにも現金がないのだ。
そこで、村の教育委員長が「旅費を出すから、部落の道路の補修をしてほしい」。
現金収入のために、道路工事を行うことにした。
こどもたちはそこで大いに働いた。
そして村の小学校の5~6年生と、青年が6人参加し、徒歩とバスと汽車での宮古行きが実現したのだ。
そして浄土ヶ浜を見て、
「ワーッ!これが海か?なんて広かんべえ!」
「海の水はやっぱりしょっぱいんだなぁ!」
宮古の魚市場ではピンピン跳ねる魚を見て、
「見るものみんな珍しくて目が回りそうだ」