痔(ガッチャキ)はなおる!(S33.1.12デーリー東北)

昭和33年1月12日のデーリー東北を開くと、現代の洗練された広告とは一線を画す、凄まじい熱量を持った紙面に目が釘付けになります。何より圧倒されるのは、紙面の半分近くを占拠せんばかりの巨大な「ぢ」という一文字です。そのすぐ横には「はなおる!」という力強い言葉が添えられており、悩みを抱える読者へ真っ向から勝負を挑むような潔さを感じます。

しかし、この広告を特別なものにしているのは、巨大な文字のすぐ脇に小さく添えられた「ガッチャキ」というカッコ書きではないでしょうか。痔という標準語よりも、青森や岩手、秋田といった北東北の地で、より切実に、より日常的に響いたのは間違いなくこの方言の方だったはずです。標準語の「ぢ」だけではどこか遠い存在に感じてしまう人々に、この悩みはあなたのことですよと優しく、かつ確信を持って語りかける。地域紙であるデーリー東北に掲載されるからこその、深い配慮と戦略が見て取れます。

広告の内容もまた、雪国ならではの説得力に満ちています。痔としもやけは全く同じ病理であると説き、冬の寒さで血行が悪くなる北国の暮らしに寄り添った解説がなされています。今の医学的視点から見れば驚くような理屈かもしれませんが、厳しい冬を越す当時の人々にとって、しもやけという身近な悩みと結びつけられたこの解説は、何よりも納得感のあるものだったに違いありません。

商品名のオセロという響きも、今となってはボードゲームを連想させますが、この時代にはまだ存在しない名称です。カタカナが持つ独特のハイカラな響きが、最新の薬であるという信頼感を与えていたのでしょう。価格や注文方法を記した細かな文字の隅々からは、テレビが普及する前の時代、新聞広告が単なる宣伝以上の、生活を変えるための貴重な情報源だった熱気が伝わってきます。

巨大な「ぢ」の文字と、それを補足する「ガッチャキ」という地元の言葉。この二つが並んでいる様子は、当時の北東北の暮らしの息遣いを今に伝える貴重な資料のようです。古い新聞をめくることは、単なる過去の確認ではなく、当時の人々の切実な悩みや、それに応えようとした時代の空気を直接肌で感じるような、不思議な体験だと改めて感じさせられました。


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